今年も今週でおしまい。今週の予定・・・・は、特にありません。
先日、日調連の「調査士法改正検討PT」の中間報告について書きました。
この問題に関する「国民(全会員)的議論」が行われておらず、行うつもりもないように思えることが問題、と思って書いたのですが、もう少し内容に関することについても言っておいた方がいいように思えるので付け足します。
「調査士法改正」が取り上げられているのがどういう理由でなのか、内容からはよくわかりません。「調査士法人の使用人」問題など、現実に「脱法」的「利用」がなされていることへの対処、など、緊急性の高い問題もあるのだと思いますが、それが主な問題になっているわけでもなく、「第一条」の「目的」か「使命」か、という問題と同レベルの問題にされてしまっているので、のんべんだらりとした感じになってしまっていて、要するにやる気が感じられません。
司法書士会(日司連)では、「司法書士法改正大綱」というものが、総会決議されています。実際に法改正へ向けた動きがどのように進んでいるのか、私はまったく承知するところではないのですが、一連の動きとして一歩(数歩?)前を進んでいるのは間違いないようです。ですので、それとの比較で考えてみます。
日司連の「改正大綱」の内容については、(正直言って私にはよくわからないながら)ある司法書士の方の意見では、「司法書士の弁護士化」を目指す「ないものねだりをしている駄々っ子」のようなものだ、と言われていますが、なるほど、と思わされるところもあります。
・・・が、それはともかく、司法書士の「改正大綱」は、そのように言われる面をも含めて方向性がはっきりとしています。「司法書士の弁護士化」へ向けて前へ進もうとしています。そこでは、新たに得るものもたくさん挙げていますが、主体的に努力すべきことがらもあげられています。内容はともかく、方向性ははっきりとしているのです。
それに対して「調査士法改正検討PT」の中間報告の方は、何ともはっきりとしません。なんとなく「今の調査士法って何か問題ありますかね?」と訊かれたから考えてみた、細かいことを言えばいろいろあるけど、特に考え付かなかった、・・・・というようなゆるーい雰囲気です。
その中でも、私の呆れたのは
「 将来の展望として、筆界に関する訴訟関係業務についての構想があることについては、これらについて調査士の業務とすると認められたときには、法の改正が必要となります。」
というくだりです。「筆界に関する訴訟業務」を調査士が担えるようにした方がいいから、そのために調査士法の改正を検討して実現しようよ、というのが基本的なスタンスとしてあるのかと思ったら、そういうわけではないようです。だったら何故、「調査士法改正検討PT」なんて作ったの?
また、驚いたのは「虚偽の調査、測量の禁止」の条項を「削除してはという意見で一致した」ということです。なるほどたしかに、「禁止」規定や、その裏にある「罰則」規定で「公正な調査、測量」を担保しようなどという志の低い考え方はやめようよ、という考え方がありうる、ということは(一種の極論として)理解できないわけではありません。しかし、法律で「禁止」「罰則」を設けていることは、一般的には「禁止」にあたらないことが行われていることを示すものであり、否定すべきものとは私には思えません。他に積極的な提言の見られない中で、ここだけ突出して積極的に「一致」してしまう、というのは理解できないところです。
「ちゃんと勉強するから、あのおもちゃを買ってよ!」と要求する駄々っ子に比べて、「別にほしいものはないけど宿題をちょっと減らしてよ」というような子供を、世間は「いい子」と呼ぶのでしょうか?
その他にも、たくさん問題がありますが、要するに「戦略的構想の欠如」がもたらしているもののように思えます。「今までと同じように今後もあるだろう」、というのは、人間誰しも持ちがちな感覚ですが、そうしているうちに時代の荒波にのみ込まれていってしまうものです。だからこそ、自分たちのあり方を見つめなおすものとして、自分たちを根拠づけている法律を見直す必要がある、・・・ということなのだと思いますが、なかなか現実はそのようにはいってくれない・・・。