「実地調査」について、今回は、「おさらい」的にごくごく基本的な事をあらためて確認しておきたいと思います。
「実地調査」に関する最も基本的な規定は、不動産登記法にあります。
「第29条 登記官は、表示に関する登記について第18条の規定により申請があった場合及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。 2 登記官は、前項の調査をする場合において、必要があると認めるときは、日出から日没までの間に限り、当該不動産を検査し・・・・・・」
これを受けて、不動産登記規則(法務省令)があります。
「第93条 登記官は、表示に関する登記をする場合には、法第29条の規定により実地調査を行わなければならない。ただし、・・・」(「ただし」以降については、またあとで)
ここで、法律で「必要があると認めるときは、することができる」と規定されていることが、省令に来ると「行わなければならない」というようになる、というのはどういうことなのかしらん?、しかも「法第29条の規定により」とまで言ってしまう、というのはどういうことなのか?と私にはよくわからないところがあります。
ちなみに、改正前の「準則」では、
「第88条 不動産の表示に関する登記の申請があった場合には、原則として実地調査を行うものとする。ただし、・・・」
となっていました。本則があって但書がある、という構造は同じですが、「原則として・・・ものとする」という言い方になっており、この方が法との整合性はあるように思えます。
その上で、但書。現行不動産登記規則93条の続きです。
「ただし、申請に係る不動産の調査に関する報告(土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人が代理人として登記を申請する場合において、当該土地家屋調査士(土地家屋調査士法人にあってはその代表者)が作成したものに限る)その他の申請情報と併せて提供された情報又は公知の事実若しくは登記官が職務上知り得た事実により登記官が実地調査をする必要がないと認めたときは、この限りでない。」
ここでもちなみに旧準則88条の続きを挙げておくと
「申請書の添付書類又は公知の事実等により申請に係る事項が相当と認められる場合には、所要の実地調査を省略しても差し支えない。」
となっていました。基本的に同じ構造ですね。変わっているのは、「調査士の調査報告書」と「登記官が職務上知り得た事実」が実地調査省略の要件として加えられていること、ということなのだと思います。このうち、「登記官が職務上知り得た事実」というのは、旧条文においても当然入っているべきだったもののように思えるので、実質的に変わったのは「調査士の調査報告書」が実地調査省略の要件として加えられた、というところにある、と言えます。
その上で、いずれにしても、「登記官が、実際に現場を見て、申請通りでいいのかどうかを確認した方がいいよ。だけど、わざわざ行かなくても、申請通りでいい、と判断できるんだったら、わざわざ行かなくてもいいよ。」という趣旨だ、ということがわかります。
・・・と、ここまででずいぶんと長くなってしまったので、今回は「条文のおさらい」だけで終わります。出来るだけ早く「続き」を書くようにします。