先日書いたように、今週の金曜から3日間、九州ブロックの新人研修会があります。
今年は、長崎会が当番会なので、長崎会で諸準備を行っていただきつつ、最近は九州ブロックの各会からも講師を派遣して「新人研修会」の運営がなされています。
私自身は、随分前に大分で新人研修が行われた時に講師をして以降は関わらずにきましたが、今年は、大分会の担当が「土地家屋調査士業務を行う上での心構え」というものになった、こういう漠然としたテーマは話しにくくて他にやろうという人がいない、ということもあって、私が引き受けることにしました。
私の性格上、本当はこういう漠然としたテーマは苦手です。なんとなく年輪を感じさせるような話をしつつ、「なるほど心構えとしてそういうことが必要なのか」と受講者に思わせるようなことを話せればそれがいいのだと思いますが、私にはそういう話はできません。準備したレジュメとしても細かいところをきりきりと詰めて行って、「面倒くさいな」と思わせるような話になってしまいそうな気がしていますが、受講者の皆さんには、「これも試練」と思って乗り越えて行っていただきたいと思っています。
その上で、「心構え」を説くにあたって、そもそも「新人」の皆さんが、「何故土地家屋調査士を志したのか?」ということをまず訊ねてみようか、と思っています。
この問いに対する答えの「模範解答」は、「表示に関する登記の円滑適正な実施に寄与して、もって国民の不動産に関する権利の保護に資したいと思ったから土地家屋調査士を目指しました」・・・・というものだと思っているわけではありません。こういうふうに答える人がいたら、その人は「嘘つき」なんじゃないかと思うほどです。そんな人、まずいないですよね。
医師であれば「人の命を救いたいと思ったから医師を目指しました」という人が中にはいるでしょう。弁護士でも「社会正義の実現のために弁護士を目指しました」という人がいるでしょう。どちらの場合も、「収入がよさそうだから」とか「社会的地位が高そうだから」という人が多数派かもしれませんが、少数派とは言え、そういう人がいる、というのは間違いないところだと思います。
だったら、土地家屋調査士にだって、そういう人がいてもおかしくないんじゃないの、と思われるかもしれませんが、やっぱりそういう人はいないだろうな、というのが偽らざるところです。それはそれで、全然悪いことだとは思いません。
私自身にしても、「大分に来るにあたって、就職先はないだろうから自分で食っていける資格を取らなくっちゃ」というのが、志望動機でした。「自分の生活が第一」というところから出発しています。これは、多くの調査士にとってもそう大きくは違わないのでは、と思っています。
しかし、「志望動機」がどうであれ、一度調査士になった以上、上記「模範解答」をもっと発展させたものを調査士としての「心構え」にするべきなのだ、と私は思っています。もちろん、現実の生活をしていかなければならないし、それが大事なのは間違いないところです。このことを無視しろ、というわけではありません。しかし、それだけに「業務独占の資格者」としてのアドバンテージを与えてもらっていることの意義を噛みしめなければならないのだと思います。
・・・そんなことを、いろいろなエピソードを交えながら、ゆったりと説得力持って話せればいいのだけど、と思っているのですが・・・・(やっぱり、無理だろうな、と思いつつ)。