土地家屋調査士法は、弁護士法等の他の業務独占資格の資格法と同様に、非資格者が資格者専管業務を行うことを禁じ、それへの刑事罰をも定めています。
この「非資格者業務」に対する規制が、あまりにも弱いのではないか、ということが言われています。これについては、「非資格者業務」に対する規制はある意味で国民の自由な経済活動に対する制約としての側面を持ちますので、規制に慎重になる、という面があるのは致し方ないと言える部分もあります。単に「法律に書いてあるから」ということだけでなく、「非調査士業務」が実際に登記制度への信頼を損ない、国民生活への悪影響を及ぼすものであることを、しっかりと明らかにしていくこと、逆に言うと調査士の業務が「安全・安心」に寄与する意義を持つものであることを示していく、ということが必要なのでしょう。
それにしても、法が、このような規制を設けていることには相応の根拠があるのであり、そこに触れるような事案まで見逃してしまって、法を空文化させてしまう、ということはあってはならないのだと思います。
大分県土地家屋調査士会では、上記のことを踏まえて、きわめて悪質な「非調査士事件」について、昨日、大分地方法務局に申し入れ(通告)をしました。
事案は、ある人物が、宅地開発の前提としての分筆や道路の付け替えや拡幅をめぐる分筆登記において、「測量士」の肩書をつけて「作成者」として反復継続して地積測量図を作成しているもので、きわめて悪質性が高いものと思えます。土地家屋調査士法の所管庁において、然るべき措置がとられることがまず必要であろう、ということで申し入れを行ったもので、事態の推移を見ながら会としてさらに対応を考えていきたいと思っています。
土地家屋調査士法第68条第1項違反事案について
当会における調査の結果、下記の者が、土地家屋調査士法第68条第1項の規定に違反して、他人の依頼を受けて地積測量図を作成する行為を継続反復して行っている事実が明らかになりました。本違反事案は、当会のこれまでの調査だけでも14件に及んでおり、きわめて悪質性の高いものであると考えます。ここに、その事実についてお知らせするとともに、刑事訴訟法第239条第2項にもとづく刑事告発を行う等、法令の定めるところに従って厳正に対処されますよう申し入れをいたします。
また、本件においては、同時期に同一地域についての地積測量図が作成され、連続して登記申請に及んだことが推測されます。このような場合、土地家屋調査士法に違反する事案として、登記手続きの審査の時点において立件する措置をとるべきものであると考え、申し添えます。 (以下略)<o:p></o:p>