大分単身赴任日誌

前期高齢者の考えたことを、単身赴任状況だからこそ言えるものとして言ってみます。

「今週の予定」と「空家対策法」

2014-11-23 11:08:31 | 日記
まず今週の予定

11.26-27日調連常任理事会

11.28  12月14-16日に開催する「日調連実務講座~土地境界実務~」の実行委員会。最終的な内容と運営細目の詰めを行います。講座参加の皆様には、この会議終了後の来週に、事務連絡と「課題」等を送る予定にしています。よろしくお願いします。

次に、「空家対策法」について

わが国の「空家」は、近い将来1000万戸になろうとしている、と言われています。それは、過疎化する地方のみの問題ではなく、都市圏においても進行するもので、有効な対策をとらないととんでもないことになる、ということがかねてから指摘されていました。
そのような現状を受け、対策を進めて行かなければならないものとして、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が、11月19日に全会一致で成立した、ということなので、それについて少し紹介します。


「この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村(特別区を含む。第十の二を除き、以下同じ。)による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする」

ものだそうです。

この目的に向けて
「市町村長は、当該市町村の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの法律の施行のために必要な調査を行うことができること。」

とされ、特に具体的に
「市町村長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、この法律の施行のために必要な限度において、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができること。」

とされていることが大きいようです。

また、倒壊等の危険のある空家について「特定空家等」として「除却」を含めた「勧告」「命令」ができるものとされています。

さらに、
「市町村は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとすること。」 

とされています。この実現に向けて、さらに具体的に私たち土地家屋調査士の業務に直接関係することとして、次の附帯決議(参議院国土交通委員会、11月18日)がなされています。

「政府は、本法の施行に当たり、隣地所有者との土地の境界紛争を未然に防止するとともに跡地の利活用の推進を図る観点から、空家を取り壊し更地にする際には事前に空家が所在する土地の境界を明確にする手続を設けることについて、必要な検討を行うこと。」

というものです。

空家対策を有効に進めて行くためには、さまざまな側面からの努力の積み重ねが必要です。私たちも、社会的に求められるこの課題の実現に向けて、私たちの立場・職能からの貢献のあり方、ということをさらに考えていかなければならないでしょう。

読んだ本ー「永続敗戦論」(白井聡著;太田出版)

2014-11-23 10:15:06 | 日記

昨年の岸田国士賞(?)を受賞するなど、評判の本です。遅ればせながら読んでみました。

著者は、「本書は、これまで何度も指摘されてきた、対内的にも対外的にも戦争責任を不十分にしか問うていないという戦後日本の問題をあらためて指摘したにすぎない」ものであり、「何か新しいこと」をいうものではない、としています。確かにそのとおりでありつつ、戦後日本社会に「内在するようになった構造」を明らかにしているのは「新しい」のでしょう、。

「対米従属がアジアでの孤立を昂進させ、アジアでの孤立が対米従属を強化するという循環」

をとってきた、という指摘は、なるほど、と思わされます。別の言い方で言うと
「敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を私は、『永続敗戦』と呼ぶ。」

という構造です。

この場合の「従属」は、他面における「庇護」でもあります。「庇護」があるからこそ「従属」もするのです。「虎の威を借る狐」状態です。こういうことはよくあります。原発の立地自治体の問題もそうかもしれません。そして、もっと身近に似たような構造があることに気が付かずにいるだけなのではないか、とも思えます。
このような状態については、個人の「哲学」の問題として「実利があるのならいいじゃない」と考える人もいるでしょうし、「潔くない」と思う人もいるでしょう。
しかし、そういう「哲学」の問題としてではなく、「実利」の問題としても考える必要があります。「アメリカは日本を決して見捨てない」という「希望」が、「幻想」でしかないことを明らかにしている現実を直視しなければならない、ということです。(これは、さまざまなものに置き換え可能です。「〇〇〇はけっして私たちを見捨てない」という幻想にしがみついてはいないか?・・・考えなければならないことです。)このような「幻想」を生む「思考停止」が問題にされます。

次のような指摘もされています。

「思考停止が最も顕著に現れるのは、核兵器をめぐる議論における「唯一の被爆国である日本は・・・」というクリシェ(常套句)である。このフレーズは、「いかなるかたちでも絶対に核兵器に関わらない」と続くことに決まっている。本来ならば、この言葉は、論理的に見て、二通りの結論を導き出しうる。ひとつは、公的に言われてきた「核兵器を絶対的に拒絶する」というものであるが、いまひとつは「二度と再び他国から核攻撃されないよう進んで核武装する」というものである。こうした立場設定は空想的なものではない。例えばイスラエルは、そのような立場を国是としている。」「誤解を招かないよう言っておくが、私は日本が核武装するべきだとは露ほども考えない。問題は、平和主義や反核兵器の理念を、この国の社会がどのように形成し経験してきたのか、その内実はどのようなものであるのかを問い直すことなのである。」


本の作り(装幀、活字、紙質等)がとっても気に食わなかったり、物言いの仕方が妙にエラそうで鼻についたり、という障害を乗り越えて、「これまで当たり前の前提になるほどに「内面化」してしまっているものを疑い、考えなければならない、ということを思わせてもらえたのが本書を読んでの収穫でした。

今週の予定

2014-11-17 07:42:03 | 日記
11.18 岐阜会の研修会で、「筆界特定」等の話をさせていただきます。このような機会を与えていただけると、普段なかなかまとめて考えることができずに済ませてしまうようなことを詰めて考えてまとめることができます。今回は、現地で筆界を特定しようとするとき、様々な手続において相違が生じてしまう現実があるのではないか、という問題について、あくまでも統一的に考えるべきであり、そのためにはどのような考え方をするべきなのか、ということを中心に考えてみました。このことを、筆界特定の具体的な事例を見ながらさらに深めて行ければ、と思っています。

私の予定ではありませんが、今週は、「消費税の10%への引き上げ延期」が決定され、さらにそれとの関係で衆議院の解散が決定される予定だそうです。この衆議院の解散については、「なぜ?」という疑問への納得いくような説明がまったくなされていません。むしろ、なんとか説明しようとひねり出されてくる「説明」を聞くと、いろいろな矛盾が出てきて余計わからなくなってしまいます。私たち自身の現状を顧みるとあまり偉そうなことも言えませんが、こんな低レベルのことをやっていて「日本の民主政治」は、どうなってしまうのだろう?と思ってしまいます。・・・・が、それにしても、「民意」の問われる貴重な機会です。沖縄の人々のようにしっかり考えなければいけませんね。


読んだ本ー「(新版)相続はおそろしい」(平林亮子著;幻冬社新書

2014-11-16 10:58:37 | 日記


相続問題に関する本です。相続税の対象範囲の拡大を前にして刊行された本なのかと思ったら、「2009年3月に刊行された「相続はおそろしい」を2015年1月1日の法律改正に向けて、加筆修正したもの」だそうです。著者は若い公認会計士さんだそうで、公認会計士にとっての「相続問題」というのが、どういう位置付けにあるのかよくわかりませんが、専門資格者として、自分に関わりがあり市民位とっても関係のある問題について、知るところを広く市民に知らせて行こう、とする姿勢は素晴らしいことだと思います。

内容的にも、「相続問題への早めの対処を」ということを、具体的な事例に基づいてそれぞれの事案における問題点、対応策がしめされていて非常に説得的なものです。このような説き方は、学ぶべきものだと思わされました。

その上で、私たちの業務と関わることとして、次のように言われます。

「相続や売買のトラブルを避けるために不動産の権利関係はできるだけシンプルになるようにし、事実に合わせてその都度登記をしておくことが大切だ。相続や売買の登記を怠っただけで、所有者が誰だかわからなくなるトラブルや事実にあった登記をするために何人もの相続人に印鑑をもらわなければならない事態も起こりうる。」

来年の相続税制改正に向けて、依頼者からの相談や業務処理を的確にできるよう、私たちも備えていく必要があります。

今週の予定―11.14日調連公開シンポジウム

2014-11-09 14:52:34 | 日記
今週の予定

11.10 広島大学図書館所蔵「中国5県土地・租税資料文庫」見学
広島大学中央図書館に、中国地方5県の「土地・租税資料」として貴重な資料が所蔵されている、ということで、2014年度人文地理学会の大会と合わせて、その見学をさせていただくことにしています。見学は、日調連の研究所と中国ブロックの各会で行います。各県の地租改正に関する調査・統計記録等の貴重な資料がある、ということで、全国の調査士会で推し進めるべき「土地の筆界を明らかにするための方法」に関する歴史資料の研究を進めるために有益なものを得られるのではないか、と期待しています。

11.14 日調連公開シンポジウム「土地境界紛争が起きない社会」
日調連の主催する公開シンポジウムです。少子高齢化と大都市一極集中の進む中で地方の疲弊は進行し、耕作放棄地や所有者不明山林などの土地が増大するとともに、都市圏においても空家が増加するなど、土地の管理が従来のようにできなくなるような事態が進行しています。その中において、全ての社会経済活動の基盤になる土地管理をどのように行っていくのか、という問題がクローズアップされてきています。これは、土地に関わる専門資格者としての土地家屋調査士にとっても大きな問題です。これらの問題に取り組み、「境界紛争ゼロ」に向けて進んで行くための第一歩となるシンポジウムにしたい、と思っています。是非ご参加ください。午後1時半から有楽町よみうりホールです。

11.15 G空間エキスポ2014(日本科学未来館)の中で、日調連で「「地籍情報の共有化と一元化及び公開の有用性」と題してのシンポジウムを開催します。前日の公開シンポジウムと合わせて、制度の将来を考える機会にしていただければ、と思います。