mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

桐野夏生 著 「魂萌え」上・下 新潮文庫 を読んだ。

2007-01-18 07:01:59 | 読書

普通のサラリーマンの59歳の妻が、夫の突然死から、思ってもみなかった現実に直面する。夫や子供達の裏切り、友人達との友情・葛藤の末、やっと強く生きていけるまでの様子を描く。一気に読んでしまった。

定年後世代の誰でもが、直面しそうな題材だけに、多くの共感を呼びそうだ。毎日新聞夕刊に連載されたもの。

なんと、今日の夕刊を見て驚いた。映画化され、今月27日公開という広告が載っていた(朝日)のだ。風吹ジュン、三田佳子の名前が大きく載っていて、常磐貴子、豊川悦司、寺尾聰等の名もある。

広告の中で、作者と中井美穂との対談もあり、楽しめた。機会があれば観たいと思う。

余談だが、作者が`97年に発表した「OUT」(日本推理作家協会賞)で、食品工場に勤めている女性が、風呂場で死体を解体する場面があった。読んだ当時は、まさか女性がそんなことをするかな、と、疑問に思ったのを覚えている。しかし、昨今ニュースを賑わしているのは、こんな話題ばかりなのには心底辟易する。

男女を問わず、欲望のためには何でもあり、と、いうことなのだろうか。そして、豊かさの行き着く先とは、こういう殺伐とした情けない社会かと、不安になる。

先日、深川江戸資料館で観た当時の生活が、金は無くともその日暮らしでも、何と思いやりに満ちた素晴らしい社会だったかと、思いを新たにした。

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