「戦地巡歴」わが祖父の声を聞く 井上佳子 弦書房
著者の祖父である衛生兵だった井上富廣は、1938年(昭和13年)安慶の太湖の町で銃撃を受けて戦死した-本書から引用地図参照-。出征から47日目のことだったという。
祖父は克明な日記を残しており、戦地から同僚が持ち帰ったと思われるのが2015年に祖母のタンスから見つかった。
著者がこの日記を読んだころ、偶々中国取材が実現(熊本放送)し、祖父ゆかりの地を訪れ当時を知る人たちを尋ねて取材をし、その交流の様子も本書の後半に記されている。
戦争の悲惨さや残虐な行為には目を覆いたくなるがそれが戦争の実態、二度と起こしてはならないと改めて思う。
本書の前半は、発見された日記とは別に残されていた日記を基に、6反歩の畑を耕作しながら生活を支えていた祖父家族や社会の様子が書かれている。