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mitumine 夢幻庵日記

夢うつつで過ごしている日々、趣味の絵・旅行・写真・ハイキング・読書などを写真を交えて気ままに記しています。

11月に読んだ本 「自民党の統一教会汚染-追跡3000日」 鈴木エイト 小学館

2022-11-30 08:07:53 | 読書

 「自民党の統一教会汚染-追跡3000日」 鈴木エイト 小学館

 安倍晋三元首相が選挙応援演説中に手製の銃で暗殺されたのは、2022年7月8日11時31分頃、奈良市の近鉄大和西大寺駅北口付近でのことだった。犯人の山上達也容疑者は母親が統一教会に過大な献金を続けたために自己破産。そのためこの教団と関係の深い元首相を狙ったものという。

 この事件をきっかけに、各種メディアで自民党とこのカルト教団の深い関係が暴かれることになったのは周知の通り。

 ジャーナリストである著者は、2013年の参院選の際、首相官邸と統一教会の裏取引を示す内部文書を入手(7頁)したのが切っ掛けとなりこの教団と政治について取材を始めたという。本書ではその取材の実態が赤裸々に語られていて呆れることばかり、政治の闇は深い。なを巻末に関係議員名とその事実が、100人以上も掲載されている。


10月に読んだ本 「おっさんの掟」-大阪のおばちゃんが見た日本ラグビー協会「失敗の本質」 谷口真由美 小学館新書

2022-10-29 13:01:42 | 読書

 「おっさんの掟」-大阪のおばちゃんが見た日本ラグビー協会「失敗の本質」 谷口真由美

 著者は幼少期、花園ラグビー場のメインスタンドの下にあった近鉄ラグビー部の合宿所で育ち、「花園ラグビー場の娘」と呼ばれていた、という(180頁)。請われて、2019年6月日本ラグビー協会理事に他の女性二人と共に就任した。専門は法学者(大阪芸術大学客員准教授)で、ラジオのコメンテーターとしても活躍中だった。

 2020年1月にラグビー新リーグ法人準備室長に就任、その後新リーグ審査委員長も兼任、2021年2月に法人準備室長を退任、6月に協会理事、新リーグ審査委員長も退任という経過をたどる。

 新リーグ立ち上げに、いわゆる「おっさんの壁」に立ち向かうが、最後はその壁を突破かなわず寂しく敗退の憂き目に遭う。一連の孤軍奮闘ぶりを実名を明かして本書が完成した。

 これを読むと、日本のたて社会の構造を変える困難さ、特に女性の地位向上も、おっさんたちの口先だけという情けない状況に唖然とする。一読をお勧めする。 

 


反省-知らずとは言え、当ブログで著作権法違反行為をしていました

2022-10-07 08:50:10 | 読書

 その行為とは、著作権者に断りなく書物の表紙写真や新聞記事を掲載したことです。

ふとしたことから疑問に思いネットで調べたら、このことは明確に違法行為に当たるということが分かりました。訴訟を起こされれば、有罪ということです。

 そこで、掲載分はどうするのか、というのが問題です。一つ一つ削除というのも膨大な作業になり現実的でなく、殆ど不可能に近い感です。

ならば、閉鎖するのか或いは今まで訴えられなかったので、甘えて反省の上存続かということになります。

 

 ここで読者の方にお詫び申し上げ、今後は違反行為の無いように注意して続けていきたいと思います。ご了承いただければ幸いです。

 取り敢えず、以下とおり”読書”と“毎年の月間まとめ”にある「書籍表紙」「新聞切り抜き」の違法な画像を削除して、その暁には著作権の消滅の画像のみを掲載いたします。

10月12日追記 画像削除について

 大量の画像を簡便な方法で一括削除する方法を、当ブログ事務局のご指導を戴きやってみました。

その結果は、未だ一部削除できない画像が残り、それを事務局に相談中ですのでご了承ください。

 

10月16日 再追記 著作権の消滅している書物などの扱い

 出来る範囲で調べて再度画像を掲載したいと思います。手始めに2年ほど前掲載の谷崎潤一郎氏の著書を、次に掲載いたしました。

今後は著作権消滅を確認の上、掲載年のページに再度掲載するつもりでおります。ご理解いただきますようお願いいたします。

 

10月20日 また追記

 カテゴリー ”読書” と ”毎年の月間まとめ” 頁に掲載してあった、書籍表紙と新聞画像の削除が終了いたしました。ご心配いただき有り難うございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

 


7月に読んだ本、文藝春秋社 現代日本文学館18 谷崎潤一郎 から3編「蓼食う虫」「吉野葛」「少将慈幹の母」 

2022-10-06 10:50:48 | 読書

 著作権の消滅を確認したので、図版を入れて再掲したもの

現代日本文学館18 谷崎潤一郎 は53年も前に発刊、積ん読だったもの

「蓼食う虫」
 

 昭和3年から新聞連載(大阪毎日と東京日日)された長編で、小学4年生の息子がいる要と美佐子は夫婦仲が悪く、美佐子は恋人との逢い引き、要はなじみの娼婦(ルイズ)通いで明け暮れている。離婚の話はなかなか進すんでいない。要には義父から芝居見物(文楽・浄瑠璃)に誘われ良く出かける。
 この芝居見物の様子が面白い。義父は久子(妾)に酒とお重を持たせて出かけて、ゆったりと芝居見物。左の芝居小屋の絵は小田楢重氏が描いたもの。

 義父は讃岐の芝居見物から帰ってきたら、2人の離婚話を聞かされ驚き美佐子をさそって食事に行ったところで終わっている。

 何れ離婚をと2人とも考えているが日常は息子の手前もあってか、取り立て事件も起きず淡々と過ぎていく様子が、この頃の世相と違う感じで面白い。

「吉野葛」
 

    巻末解説で井上靖氏は、作者の中期の傑作であり代表的短編といわれている、といっている。
 
 本書の出だしは、南北朝の和議成立した1392年(北朝の明徳3年/南朝の元中9年)まで南朝は57年、その後楠二郎正秀が三種の神器のうちの神璽と、親王万寿寺宮の御子お二方を奉じ奥吉野に立て籠り年号を天靖と改元し以後65年も続いた。併せて122年も続いたことになる。

 本書は、私という一人称で物語っていく体裁(巻末解説)をとっている。その私は、南朝の秘史に興味を感じ歴史小説を書いてみたいというところから始まり、私の一高時代の友人津村から親戚が吉野の国栖にあることから同行を誘われる。

 吉野は歴史のある所だけに文楽「妹背山女庭訓」の舞台となっている妹山、脊山、その先には、静御前の初音の鼓を宝物として所蔵している家があり、拝見することになる。その後、津村の母方の叔母の家を訪ね、早世した母の形見の琴を見せてもらうことになる。

 短編だが内容が濃くて読みどころ満載、時間がたつのを忘れるほどで面白かった。挿絵は三輪晃勢氏による、吉野風景か。


「少将慈幹の母」
 

    題名の少将慈幹は平安初期、大納言藤原國経が高齢になって美しい妻との間に設けた子のことで、本作では最後に登場するのみ。その美しい妻は時の権力者で甥でもある左大臣藤原時平に奪われて、慈幹は父のもとに残されたので母とは会うことがなかなか叶わない。

 左の挿絵は小倉遊亀氏によるもので。幼い慈幹が母に忍びあう時があり、とっさに平中(時平の友人)が取次の女童の腕に和歌をしたためているところ。

 略奪事件の4・5年後延喜九年四月四日、時平卒去する。このころ菅公の怨霊の祟りと言われ関係者が多数亡くなった。

 出典は「今昔物語」らしいが、当時の風俗が興味深い。谷崎文学の傑作と言われているが頷ける。




8月に読んだ本  文藝春秋社版 現代日本文学館 17 谷崎潤一郎 Ⅱ 「細雪」

2022-10-06 10:16:16 | 読書

 この本は2021年10月に読了したものを著作権の消滅を確認したので、改めて図を転載して再掲

 現代日本文学館 17 谷崎潤一郎 Ⅱ 「細雪」 下の図は著作権の消滅を確認したので転載した


  大阪船場で父親の代まで資産家だった4人姉妹を中心とした物語。本書での時代は昭和11年から16年の戦争の時代だが、その影響は殆ど出てこない。
 本家は長女の鶴子夫妻が継ぎ、中途から夫の転任で東京渋谷へ転居。次女幸子夫妻は芦屋住まい。独身の下の2人はなんやかやと理由を付けては本家を敬遠、分家の芦屋に住むことが多い。

 大きな事件も無く花見、芝居見物、蛍狩など一家で出かけて楽しむ様子がいかにも上流社会。祥子夫妻の隣家はドイツ人ご夫妻でお子さん2人を含め家族との交流が楽しいが、ヨーロッパも風雲を告げ急遽横浜から帰宅することに、この見送り風景も珍しい。妙子は船場のぼんぼんの求愛を断り、恋人との子を死産の不運。
 雪子は数回のお見合いも断り続け、やっと子爵の後裔と成就、めでたしと幕。

 文中「ご寮人さん」-娘または若い妻のこと、「こいさん」-お嬢さんのこと、「お春どん」-女中お春のこと、が、関東人には新鮮だ・・・そして、巻末に20頁に亘って注解があるのがとても参考になった。

 本書が初めて「中央公論」に出たのは昭和十八年の新年号であったが、それから三月号に載り、次いで七月号に掲載される筈のところがゲラ刷りになったままついに日の目を見るに至らなかった。陸軍省報道部将校の忌諱に触れたためであって「時局に沿わぬ」と言うのがその理由であった。巻末の解説(井上靖)によると「『細雪』回顧」の中で作者は語っている、という。

 著者の松子夫人は本書付録の(二)で、「私の家族がモデルといわれておりますが、それはもう私や妹たち雰囲気-性格は申すに及ばず、小さな癖や言葉使いまで、じつにあますところなく写しとられていると思います」と書かれている。想像だが二女幸子のモデル?

 久し振りに良質な小説に出会って、毎日堪能した。長編では「カラマーゾフの兄弟」「ドンキホーテ」「夜明け前」以来か。

 

 
 ↑14-15頁 挿絵 
右から 鶴子(長女)秋野不矩 画  幸子(次女)堀 文子 画 
    雪子(三女)広田多津 画  妙子(四女)朝倉 攝 画


 
  ↑巻末解説(井上 靖)547頁から
  谷崎潤一郎 歌 棟方志功版画
 「細雪に題す 姉妹が袖打ちかけし欄干に緋鯉真鯉にけふもつどい来」





10月に読んだ本 谷崎潤一郎 近代日本文学館 16から 「春琴抄」「刺青」2編

2022-10-06 09:43:13 | 読書

この本は2021年10月に読了したものを著作権の消滅を確認したので改めて再掲した

 谷崎潤一郎 近代日本文学館 16から 「春琴抄」
   下の写真は、著作権が消滅しているので、本から転載した

 
  伊東深水 挿画  左 佐助に手を引かれ、お花見する春琴
          右 盲人になろうと目をつぶす佐助


 春琴、ほんとうの名は鵙屋琴、大阪道修町薬種商の生まれで没年は明治十九年十月十四日、墓は・・・で始まる短編。 
 美人の誉れ高い琴は、9歳の時失明し58歳で亡くなるまで、3歳年下の丁稚の佐助が生涯支えつづける。サディスティックな春琴とマゾの佐助との関係は「瘋癲老人日記」と同様の構成。
 
 春琴17歳の時妊娠、出産したが相手は佐助と疑われたが2人とも否認し続け、里子に出すことに。後年、夫婦同然の生活になるも2人の関係に変化なし。つまり我が儘なご主人様に仕える家来。
 美人を妬まれたか、夜中に侵入した賊に熱湯を浴びさせられて顔面を負傷、以来ずきんで顔を隠す生活になる。負傷した春琴の顔を佐助に見られたくない、というのを知り自ら目をつぶして盲人になってまで尽くす姿に驚く。

 文体が独特で読みにくい。句読点の打ち方、改行がごくわずかで、余白が殆ど無い。


 谷崎潤一郎 近代日本文学館 16から「刺青」

  
  鏑木清方 挿画

江戸後期、清吉という若い刺青師は奇警な構図と妖艶な線とで名を知られていた。彼は予てから念願の宿願を抱えていた。それは、光輝ある美女の肌を得て、それへ己の魂を刺し込むことであった(345頁)。しかし望みの女性に出会えずやっと4年半も過ぎた頃、深川の料理屋平清でそれらしい女性を見かけたが籠に乗って走り去ってしまった。

清吉の憧れごこちが、激しき恋に代わって、その年も暮れ-中略-見慣れぬ小娘が入ってきた。それは清吉が馴染みの辰巳の藝妓から寄こされた使いの者であった。中略-「ちょうどこれで足かけ五年、己はお前を待っていた」(345-6頁)。この出会いを得て、彼は望の刺青を彫ることが出来た。

7頁の掌編小説でした。鏑木清方の挿画とは、何とも贅沢なことかと驚いた、春琴抄の伊東深水も同様、流石文芸春秋社。



9月に読んだ本 「予告された殺人の記録」G・ガルシア=マルケス 野谷文昭 訳 新潮文庫

2022-09-19 10:49:37 | 読書

「予告された殺人の記録」G・ガルシア=マルケス 野谷文昭 訳 新潮文庫

 訳者あとがきによると本書のモデルは著者も一時住み、家族が暮らしていたコロンビアのスクレという田舎町で1951年1月22日に起こった事件だという。

 小説として発表されたのは事件から30年近く後で、理由は身内や知人が事件に関わっていたからという理由だった。因みに裏表紙によると、『ノーベル賞作家ガルシア=マルケス自ら「最高傑作」と呼ぶ中編』とある。

 彼の作品を読むのは2作目なので何とも分からないが、事件に至るまでの描写がとてもリアルで登場人物や、村の様子が手に取るように分かる。とても面白い。ごらんのように本の装丁の絵も面白い。

 

 

 


8月に読んだ本2冊 「千代田区一番一号のラビリンス」 森達也 現代書館、「気候変動の真実」スティーブンE.クーニン 三木俊哉 訳 杉山大志 解説 日経BP

2022-08-25 11:35:41 | 読書

「千代田区一番一号のラビリンス」 森達也 

  ラビリンスをネットで調べると、迷宮、迷路とあった。

と、すると「皇居の迷宮」ということになり、本書のエピローグのシーンそのものということになる。著者の分身と思われる克也が恋人の桜子と共に明仁さん、美智子さんの案内で宮殿の地下迷宮探検でお二人共々危険に遭遇する。

 ご退位前の陛下ご夫妻の日常生活などをTV放映しようと、取材したことに端を発する。美智子さんとは「カタシロ」が縁となり、メールのやりとりが出来るようになった。

 本書を読むきっかけになった東京新聞の読書欄評者(2022/06/11岡崎武志)によると、「問題作というしかない」といっている。因みに、山本太郎議員やさかなクンも実名で登場する。

 

 

 

 

「気候変動の真実」スティーブンE.クーニン 三木俊哉 訳 杉山大志 解説

                                                         ↑  上図は、本書67ぺーじの5億年前からの地上気温偏差図

本文から→ 一番右(直近)の時代区分から見ていくと、地球は2万年前から約5度C  暖かくなった‥中略‥現生人類が登場したのは右から2つめの時代区分の真ん中頃(数十万年前)にすぎない‥

 さて本題だが簡潔に纏めるのはとても難しい‥私には無理、ということで解説杉山大志(キャノングローバル戦略研究所研究主幹)氏の意見を次に引用させていただく

 ☆ 著者のクーニン氏は輝かしい経歴の持ち主で、間違いなく米国を代表する科学者のひとりである。

 ☆ そのクーニンが「気候危機説は捏造だ」だと喝破したのがこの本だ。

といって、次のように賛辞を表している

 私ごとながら小生も物理学出身で、そこで批判精神を大いに学んだ。そのおかげで気候危機説に疑問を持つようになり、クーニンと全く同じ動機を持ってあれこれ調べ始め、全く同じ見解に達した。本書でクーニンが言っていることに違和感は何一つなかった。

 私はといえば、概略は理解できたつもりでもかなり専門的知識を要求されるかもと思う。細部にわたる部分は斜め読み状態で350ページを読み終えた。でも気候に関する本は少なそうなので、”氏のような一流の学者の本が日本語で読める”ということにしみじみ有り難いと思った。

 

 

 

 


7月に読んだ本2冊 「妻はサバイバー」永田豊隆 朝日新聞出版 「プーチンの正体」黒井文太郎 宝島新書

2022-07-25 13:29:44 | 読書
 「妻はサバイバー」永田豊隆
  著者は朝日新聞社の記者で、2002年の結婚4年目34歳、妻29歳(専業主婦)の時、妻の異常な食行動に気付く。

 これが後に摂食障害と判明するもやがて激しい過食嘔吐、途切れない飲酒、大量服薬、リストカット(132頁)、大腿骨頭壊死症(112頁)、アルコール性認知症(114頁)と約20年近くに亘る2人三脚の闘病記。
 
 本書は2022年4月第一刷だが、2018年に朝日新聞に6回連載された。それに4年かけて加筆したもので連載を提案されたとき、奥さんが賛成しないかもと危惧したが、「ぜひ書いてほしい。私みたいに苦しむ人を減らしたいから」という返事に腹を決めた(137/8頁)とある。

 あとがきに、この本は私の単著の形をとっていますが、妻と2人でつくりあげたものです。彼女が苦難を生き抜き、私の背中を押してくれなければ、生まれなかった作品です。彼女への感謝の言葉は尽くせません。

 本当にありがとう。これからも共に生きようね。という文言に、心打たれる。

07/27 追記(病の原因))
 カウンセリングの結果この病の原因は、子供の頃被った身体的、精神的暴力。その中には性暴力もあった。-中略-浮き彫りになったのは、PTSDと解離性障害という二つの疾患だ(71頁)。ということが判明した。

 「プーチンの正体」黒井文太郎
 2月のウクライナ侵攻以来、嫌われ者となっているプーチン大統領。この侵攻は突然始まったのではなく、2014年突然クリミア半島に侵攻し手に入れから機会をうかがっていたものだ。オバマ大統領のシリア紛争不介入をみて、米国中心の国際秩序を破壊してロシアの勢力圏を力で拡大しようとする挙に出た。

 今度の侵攻も思いつきレベルの話でなく長い時間を掛けて醸成されたものだ。問題は彼は常に外部に敵を設定し、強圧的に攻撃し、常に勝利してきた。そして極めて悪い意味で信念が強い。プーチンの「人間の質」からすると、彼が簡単に「引く」とは考えにくい(まえがき抜粋)。

 本書では、第一章 ウクライナ侵攻の全内幕 第2章 21世紀最悪の虐殺者 で事例を挙げて彼の悪行を暴いている。そして第3章 黒い独裁者の正体 126頁では、ヒトラーと同質の小見出しの文中、手口の流れまでヒトラーのコピーと言っていいだろう、とある。 第4章では、プーチンの暗殺部隊での悪行、第5章 フェイクニュースで世界を分断では、アメリカ大統領選挙、イギリスのEU離脱など。第6章では、北方領土返還交渉では、日本が手玉にとられた様子が記されている。

 軍事ジャーナリストならではの、著者面目躍如の好著といえる。






6月に読んだ本「ロシア点描」 小泉 悠 PHP研修所 

2022-06-29 14:09:29 | 読書
「ロシア点描-まちかどから見るプーチン帝国の素顔」 小泉 悠

 本書は2022年5月20日が第一刷で、著者によるあとがきは3月25日付けである。と言うことは、いまだ続いているロシアによるウクライナ侵攻(3月24日)から一ヶ月後脱稿となる。
 
 全7章(181頁)中、大半はロシア人気質や住まい、地下空間や街並み、食生活などで著者のようにそこで生活した人でないと分からない事柄で、これはこれで面白い。

 しかし、ロシア軍事専門家である著者の主眼はこの戦争、ひいてはプーチンの統治手法が世界に及ぼす影響はどうかにある。それが、145頁からの第6章「大国」ロシアと国際関係、第7章権力編で、とても興味深い。

 

5月に読んだ本 「金閣寺」 三島由紀夫 新潮文庫

2022-05-31 10:21:03 | 読書
 「金閣寺」 三島由紀夫
  1950年に起きた「金閣寺」放火犯人心理描写を克明に描写している小説。
 僧侶であった父親からの伝てで金閣寺に入門、本人も親の期待も何時かはその寺の跡継ぎにあった。
老師からも目を掛けられ、「お前をゆくゆくは後継ぎにしようと心づもりしていたこともあったが、今は今はっきりそういう気持ちがないことを言うて置く」といわれる事態に。

 仏教に関する言葉も多く、なかなか読みにくいと感じた。

 ウィッキペディアによると、同様な作品は水上勉「五番町夕霧楼」、映画は市川崑監督「炎上」(1958年と76年)、田坂具隆監督「五番町夕霧楼」(1963年と1980年)がある。


4月に読んだ本2冊 「地球星人」 村田沙耶香 新潮文庫、「海と毒薬」遠藤周作 新潮文庫

2022-04-29 16:23:34 | 読書
 「地球星人」 村田沙耶香
 小三だった奈月(魔法少女だと思っている)はお盆の時、おばあちゃんが住む山へ行ったとき従兄弟の由宇(宇宙星人だと思っている)と正式な恋人になり、そして後、結婚の約束まで交わす(40頁)。

 奈月は小五のころ性教育をうけて、やっぱりそうだったのかあ、と思った。『私は、人間を作る工場の中で暮らしている。中略 ずらりと整列した四角い巣の中に、人間のオスとメスと、その子供がいる。ここは肉体で繋がった人間工場だ』(48頁)。

 奈月は31歳の時、私は「工場」の部品に上手くなれないであろう自分を感じていた。私の身体は故障したまま、大人になっても性行為はできなかった(136頁)。そこでネットで「性行為なし・子供なし・婚姻歴あり」の条件に合った智臣と結婚することになり、縁あって由宇がひとり住まいをしている”おばあちゃんが住む山の家”へ同居することになる。

 この後も事件が次々起こるが省略。読み終わっての感想は「変な小説」、現実世界を逆転させて観ればこうなるのか?

 因みに、佐藤優氏は「危ない読書」127頁で、もし会社の同僚に「面白い小説があるよ」とすすめたら、人間性を疑われるかもしれない。しかし、私はあえてすすめたい。と、言っている。実は、私もこれを読んで早速買い求めたもの。

「海と毒薬」遠藤周作 
 あの戦争末期の九州の大学付属病院での「アメリカ人捕虜生体解剖事件」をテーマとした作品。読後、暗澹たる気持ちになるのは、氏原作の映画化「沈黙」と同様。日本人とは何か、と考えさせられる。


3月に読んだ本 危ない読書-教養の幅を広げる「悪書」のすすめ 佐藤 優 SB新書

2022-03-26 18:32:31 | 読書
 危ない読書-教養の幅を広げる「悪書」のすすめ 佐藤 優

 これはかなり衝撃的な読書案内だ。偶々書店で平積みされているのを見つけて買い求めたものだが、氏の博識、守備範囲の広さに驚かされた。良い本に巡り会えた。

 本書は、ヒトラーの「わが闘争」(これがあること自体驚き)から始まって、20冊目は村田沙耶香の「地球星人」で終わっている。この中で読んでいるのはドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」だけだった。

 幾つか受け売りで ‥‥
「国体の本義」文部省教学局 ‥ ”最大のポイントはファッシズムの否定にある”と氏はいう(P 066)
「戦争論」クラウゼヴィッツ ‥ 近代的戦争を語る上で避けて通ることが出来ない一冊(P 076)
「クーデターの技術」クルツイオ・マラパルテ ‥ 国家を守る側が読めば防衛マニュアルになる一方で、国家改造を志す側が読めば国家転覆マニュアル(P 089)
「読書の仕方」黒田寛一 ‥ 革マル派リーダーによる超現実的読書術 (P 110)
「パルタイ」倉橋由美子 ‥ 全体主義のグロテクスさを描いた名作(P120)
「カルロス・ゴーン経営を語る」 ‥ 日本の製造業がグローバリゼーションが進む中で生き残るためには、結局のところ、ゴーン型の経営改革しか選択肢がない(P 131)
「トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ」‥ 取引の魅力にとりつかれた男(P 142)
  ‥
後は省略するが、興趣は尽きない
 


2月に読んだ本2冊「保健所の「コロナ戦記」TOKY2020-2021」 関なおみ 光文社新書 「へそまがり日本美術」府中市美術館編・著

2022-02-25 15:20:02 | 読書
 保健所の「コロナ戦記」TOKY2020-2021 関なおみ
 
 著者は2020年から21年、保健所と東京都庁の感染症対策部門の課長級の公衆衛生医師という立場で新型コロナウィルス感染症対策の第一線に立ち現場の指揮を執った。

 組織も人員も足りない中、まさに戦場ともいえるコロナ対策、「都庁や保健所の現状を知って欲しいという思い」-あとがきP379-で、本書の発行に至ったという。当事者の方々のご苦労に、頭が下がる思いだ。







「へそまがり日本美術」府中市美術館編・著
  この本は、なんとも面白く読み進むことが出来た。

 本書は3年程前、府中市美術館で開催された同名の美術展の”図録”らしい、見逃したのが残念。
 普通、図録は買って持ち帰っても通読することはない。本書は、最後の頁まで面白く思わず笑ってしまう絵も多い。

 参考まで興味のある方は、こちら(http://fam-exhibition.com/hesoten/highlight.html)をご覧ください。
 なお、ここに“へそ曲がり度診断”という頁があって、これも相当面白い。因みに私は80%で相当なへそ曲がりという診断だった。


1月に読んだ本 「月夜の森の梟」小池真理子 朝日新聞出版 

2022-01-26 05:14:02 | 読書

 「月夜の森の梟」小池真理子
  
 “夫・藤田宜永の死に寄せて”で始まる本書は、37年間連れ添った同業(作家)でもある夫を失ってからの自身の心象風景を綴った(連載を終えてP170)もの。

 私たちは互いが互いの「かたわれ」(P167)だったと云うほどの強い絆で結ばれていた。   合掌

 昨年夏頃朝日新聞に50回連載されたものだという。