普通のサラリーマンの59歳の妻が、夫の突然死から、思ってもみなかった現実に直面する。夫や子供達の裏切り、友人達との友情・葛藤の末、やっと強く生きていけるまでの様子を描く。一気に読んでしまった。
定年後世代の誰でもが、直面しそうな題材だけに、多くの共感を呼びそうだ。毎日新聞夕刊に連載されたもの。
なんと、今日の夕刊を見て驚いた。映画化され、今月27日公開という広告が載っていた(朝日)のだ。風吹ジュン、三田佳子の名前が大きく載っていて、常磐貴子、豊川悦司、寺尾聰等の名もある。
広告の中で、作者と中井美穂との対談もあり、楽しめた。機会があれば観たいと思う。
余談だが、作者が`97年に発表した「OUT」(日本推理作家協会賞)で、食品工場に勤めている女性が、風呂場で死体を解体する場面があった。読んだ当時は、まさか女性がそんなことをするかな、と、疑問に思ったのを覚えている。しかし、昨今ニュースを賑わしているのは、こんな話題ばかりなのには心底辟易する。
男女を問わず、欲望のためには何でもあり、と、いうことなのだろうか。そして、豊かさの行き着く先とは、こういう殺伐とした情けない社会かと、不安になる。
先日、深川江戸資料館で観た当時の生活が、金は無くともその日暮らしでも、何と思いやりに満ちた素晴らしい社会だったかと、思いを新たにした。
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