水戸梅日記

水戸・いばらき

「学問は驚きだ -会社の行方-」

2005-08-15 | 読んだ本
智慧の実を食べよう「学問は驚きだ」(糸井重里)という本が面白かったので,その内容を少し紹介します。

最初は,「会社の行方」岩井克人さんのお話です。

会社は「ヒト」としての性質を持つと同時に,「モノ」としての性質を持っているそうです

「ヒト」としてはいわゆる「法人」ということであり,「モノ」としての会社が「株式」であるということ。

これを出発点にするだけで,いろいろなことが上手に説明できてしまうのだという事実に驚きました。(私は実は20くらいの会社の株主なのですが,モノとしての株式を所有しているだけで,その会社自体はヒトとして活動(財産管理など)もしているわけで,・・・なるほど,会社は株主のモノとは一概に言いきれないんだなぁということをすっきり理解したのでした。)株主主権論が幅をきかせていますが、そうではないということがわかります。こういうことを頭の中で整理できる人というのはすごいと思います。

また,こういう研究をしている経緯も知ることができましたが(経済学の主流から外れたことなど),「人間とは何か」ということを,経済学の中で考えていくのが大切だと気がついたことが,ある意味で著者の転換点だったようです。経済的合理性によって行動するだけが人間じゃないと思い始めた・・・。(でも,それは少なくともその時点では経済学の主流にはならなかった・・・)

「会社の行方」を考えるにあたって著者は「信任」という言葉に注目してます。

資本主義における基本的な関係は「契約関係」とされていますが,本当にそうなのか?「信任関係」じゃないのかと考え始めていて,その違いを理論化しようとしています。資本主義の一番中核には「会社」があるけれど,その真ん中には,実は利益追求とは対立する経営者の「倫理」があって,そもそもこれがないと会社制度は成り立たないというような思索・・・なんかすごいっ!と思わされたお話でした。(ちなみに、うちの会社の行方には非常に大きな不安を感じている私です。)





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