風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

アジアの火薬庫?

2017-04-26 02:06:54 | 時事放談
 かって民族問題がややこしいバルカン半島は第一次大戦の引き金を引き、ヨーロッパの火薬庫と言われた。1990年代以降もユーゴスラビア紛争が発生した。朝鮮半島情勢も緊迫するが、アジアの火薬庫となるのかどうか。今日のところは何とか無事だった。
 どうやら日・中・米が連携し北朝鮮に圧力をかけている模様だが、この一連の動きの中で最も印象的だったのは、今月6日、トランプ大統領が習近平国家主席との夕食会のさなかに、シリア攻撃を伝えた場面だった。トランプ大統領がFOXニュースのインタビューに答えたとして、共同通信が伝えたところをそのまま引用する。

(引用)
 トランプ米大統領は12日放送の経済専門チャンネルFOXビジネスのインタビューで、中国の習近平国家主席を招いて南部フロリダ州で6日に行った夕食会において、最後のデザート中に習氏にシリアへの攻撃を説明したと明らかにした。習氏は10秒間沈黙し、通訳を通じて「もう一度、説明してほしい」と聞き返した。
 夕食会はトランプ氏の高級別荘「マールアラーゴ」で開催。食事を終え、トランプ氏は「見たこともないほど、きれいなチョコレートケーキ」を食べる際に「説明したいことがある」と習氏に切り出し「たった今、シリアに59発のミサイルを撃った」と伝えた。
 ケーキを食べていた習氏は説明を聞いた後「子供や赤ん坊にガスを使う残虐な者に対してなので(武力を使うことは)問題ない」と語り、理解を示したという。
(引用おわり)

 習近平国家主席の狼狽ぶりが看て取れる。4月6&7日の米中首脳会談から帰国するや、11日(中国時間12日)、再びトランプ大統領と、今度は長い電話会議を行ったところを見ると、随分、仲がいいなあ・・・なんて呑気なことは言っておれず、上記反応に見られる通り、6&7日の会談は完全にトランプ大統領に気圧されたままロクな成果なく帰国し、それが帰国後の中国で問題になった可能性をうかがわせる。
 その後、トランプ大統領は、ダメ押しするかのように再び北朝鮮を牽制しかつ中国が北朝鮮を説得するよう圧力をかけるべく、アフガニスタンで大規模爆風爆弾(MOAB)「GBU43」を投下して見せた。IS(イスラム国)が防御用に使っているとみられるトンネル施設を攻撃したものらしい。MOABは核兵器を除く通常兵器としては最大の破壊力を持ち、実戦で使われるのは初めてと言う。なかなか予測困難なトランプ大統領の本気度がさすがにこたえたか、北朝鮮は、15日の故・金日成主席生誕105年に、軍事パレードは行ったが6度目となる核実験の挑発は行わなかったし、今日25日の朝鮮人民軍創建85周年にも、やはり核実験による挑発を行わなかった。
 どうやら今回、中国は本気らしい。中・韓ひいては中・米(在韓米軍)の緩衝地帯である北朝鮮が暴発して米軍の報復を受けて崩壊するような事態に至っては、元も子もないのであろう。国連安保理でも、対シリア非難決議にせよ対北朝鮮のミサイル発射非難決議にせよ、ロシアは採決に当たって拒否権を発動したが、同じく拒否権発動の常連だった中国は、今回は棄権に回った。トランプ大統領との会談の成果だろう。
 一体、朝鮮半島の膠着状態はいつまで続くのだろうか。
 自衛隊幹部だった方が、トランプ大統領が中国とディールし、在韓米軍を撤退あるいは大幅縮小するのではないかと予測された。面白い頭の体操だが、東アジアにおける米国のプレゼンスを落とすような方向に向かうとは考えにくい。日本の安全保障への影響も甚大だ。
 北朝鮮メディアによると、平壌で11日に開かれた最高人民会議(国会)で「外交委員会の選挙」が行われたらしい。外交委員会は1998年に廃止されたが、それが復活したことについて、韓国統一省報道官は「核・ミサイル開発を進めつつ、対外関係にも関心を注ぐという意思表示で、最高人民会議を対外関係改善に活用しようとの意図」との見方を示した。米・朝のディールがあり得るのだろうか。5月には韓国大統領選挙があり、それに合わせて北朝鮮が動くのか否か。暫く朝鮮半島情勢から目が離せない。
コメント
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