「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

宮本常一

2007年06月19日 | Slow Life
人に勧められて、日本各地を旅して民俗学をまとめた宮本常一の本を読んでいる。

文中に出てくる、彼が郷里を出るときに無学の父親から言われたことばが面白い。

・汽車に乗ったら窓から世の中を見ろ。田畑に何が植えられているか、
 家や人々の服装はどうかと。それでその土地の様子が分かる。
・新しい場所では高いところへ登り、目立つものを見ろ。道にも迷わなくなる。
・金があったら各地の名物を食べておくと、その土地の暮らしの高さが分かる。
・時間のゆとりができたらできるだけ歩け。いろいろなことを教えられる。
・金は儲けるより使うのが難しい。
・勉強をさせてやれないので、何も注文はしないが、体は大事にせよ。
 30歳までは勘当したつもりでいるが、30過ぎたら親のあることを思い出せ。
・人の見残したものを見るようにせよ。その中に大事なものがあるはずだ。
 焦ることはない。自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。
などなど。

後に民俗学の実践家として柳田国男からも認められる彼の基礎が
ここにあったのかと思うと同時に、現代でも通用する言葉であると思う。

また、彼は、各地を旅したとき、
「調査とは言っても、この土地のことについては無知なので教えてくれ」
と言って教えを乞い、その話が納得できるものなら、他へも行って披露した。
「それが旅をするものの役目だ」と言う。
そのため、人々も彼に、いろんな知識を授けたり、
多くの人々を紹介してくれたという。

旅を続けるものとして、心に留めておきたい言葉である。