保健福祉の現場から

感じるままに

分娩の保険適用化と集約・重点化

2024年09月13日 | Weblog
R6.9.13Web医事新報「【識者の眼】「分娩の保険適用化を考える」稲葉可奈子」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=25064)の「保険適用化の流れがもう後戻りしないのであれば、安全な周産期医療を維持するために集約化は避けては通れません。すなわち、自分の町ではお産ができない、という地域も出てくる、そのことを日本中が受け入れなければなりません。」に賛同する方が少なくないかもしれない。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」(https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson23/t-page.asp)に出ている「2050年までの市区町村の性・年齢階級推計人口」での若年女性人口を踏まえれば、今後、分娩件数が急速に減少する地域が少なくないが、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_474087_00001.html)のR6.6.26「周産期医療提供体制の確保について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001268283.pdf)p7「周産期の医療体制(第8次医療計画の見直しのポイント)」では「周産期医療の集約化・重点化」が柱の一つとなっている。分娩件数の急速減少のなかで、地域によっては「周産期母子医療センター」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001238157.pdf)の維持確保を最優先に考えなければいけないように感じる。「医療計画の見直し等に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_127276.html)の「周産期医療について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000571647.pdf)p31「【オープンシステム】 地元で健診を担当した医師・助産師が分娩時に連絡を受け、連携病院(周産期母子医療センター等)に出向き、出産に対応する。【セミオープンシステム】 健診は地元で行い、分娩は連携病院で行う。出産には連携病院の医師、助産師が対応する。」の推進が欠かせない。また、「医療政策研修会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)のR6.1.19「周産期医療および小児医療について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001193026.pdf)p4「妊婦に対する遠方の分娩取扱施設への交通費及び宿泊費支援事業」の「概ね60分以上の移動時間」の要件緩和も必要と感じる。「出産なび」(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/)は分娩医療機関だけでなく、妊婦健診実施医療機関情報も期待されるかもしれない。一方で、分娩をやめる産科医療機関には産前・産後ケアの充実・強化が期待されるかもしれない。例えば、R6.7.25「産後ケア事業ガイドライン(案)」(https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000277407)p11「市町村が実施する産後ケア事業については、短期入所型、通所型、居宅訪問型とも、利用者から産後ケア等のサービスに係る利用料を徴収することができる。 ただし、本事業を利用しやすい環境を整える観点から、すべての利用者を対象に、利用者が属する世帯の所得の状況(住民税非課税かそれ以外か等)に応じた利用料の減免措置を講じるよう努めること。その他、オプションとして、アロマトリートメント等のサービスが提供される場合や、育児用品等の販売を行う場合は、あくまでも本人の希望に応じて提供されるものであるため、費用について分かりやすい形で提示するとともに、丁寧に説明を行うこと。」について、まずは、R6.6.10Web医事新報「【識者の眼】「産前産後ケア事業を継続させていくために」栗谷義樹」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=24461)の「とりわけ宿泊型産後ケアなどの利用者はきわめて少ない状況にある」「とりわけ低所得世帯の産婦が費用負担に悩まず活用できる利用料金とは思えず、持続可能な利用者数を確保できるかどうかに若干の懸念を覚えた」、R6.3.24女性自身「離乳食を無料で提供…日本初「赤ちゃん食堂」創設者語る“ワンオペママにとって何より怖いもの”」(https://jisin.jp/domestic/2306824/)の「産後ケアのデイサービスを使う場合、費用は約1万5千円で自己負担が2千〜5千円程度。誰もが気軽に、とは簡単に言えない金額です。」とあるように、自治体によっては経済的理由により極めて低調な状況であることは認識したい。R6.6.26「周産期医療提供体制の確保について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001268283.pdf)p10「産後ケア事業(妊娠・出産包括支援事業の一部)」ではR4「10.9%;産婦の利用率の算出方法 宿泊型・デイサービス型・アウトリーチ型の各利用実人数の合計/分娩件数」と全部合わせても全国の利用率は約1割に留まる(おそらく宿泊型やデイサービス型は少ないはず)。自治体間の利用率格差も小さくないかもしれない。R6.3.15母子保健課資料(https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/17dee8fe-58f0-4471-a15b-24dd6b6dc7ee/4b487c0b/20240315_councils_kodomoseisaku-syukankacho_17dee8fe_11.pdf)p11「実施自治体」だけではなく、例えば、厚労省「出産なび」(https://www.mhlw.go.jp/stf/birth-navi/)のような市区町村「産前産後ケアなび」も期待されるであろう。「母子健康手帳情報支援サイト」(https://mchbook.cfa.go.jp/)は、自治体サービス情報とリンクされるべきである。ところで、医療計画(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、その昔、脳卒中を最優先に取り組むように通知されていたが、今は「周産期」かもしれない。総務省「自治体戦略2040構想研究会」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai2040/index.html)の資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000548065.pdf)p17「2040年頃を見据えた自治体戦略の基本的方向性」にある「個々の市町村が行政のフルセット主義を排し、圏域単位で、あるいは圏域を越えた都市・地方の自治体間で、有機的に連携することで都市機能等を維持確保する」は医療計画(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)・「地域医療構想」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)にもあてはまるであろう。
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