友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

役に立つならいいじゃーないか

2012年08月21日 20時11分23秒 | Weblog

 一緒に井戸掘りをしている80歳の最長老が、「来年の3月以降になるが、引っ越すことにした」と言う。今はカミさんと二人暮らしだけれど、「そろそろ身の振り方を考えなくてはいかん」とは言っていたし、実際に「有料老人ホームの見学に行って来た」という話も聞いた。まあ歳だから、そういうことは当然あると思っていたけれど、それが現実的になってくるとまでは考えていなかった。

 彼には息子と娘がいるが、息子の方は「家にも遊びに来ない」と嘆いていた。カミさんは遠慮なくものを言うキツイ人だから、「嫁さんとはうまくいかないだろう」と古くからの友人が言っていた。その分と言ってはヘンだけれど、娘さんの方にはよく出かけていた。娘さん一家と旅行に出かけた話も聞いた。カミさんにとっても実の娘だから、ズゲズゲ言っても後からこじれるということがないようだ。

 小田急線沿いで娘さんの家から近い駅の傍の中古マンションを探したが適当なものが無くて、結局「来年3月に完成する新築のマンションにした」と言う。神奈川県は丘陵地なので坂が多い。車は手放すつもりだから、駅の近くか、駅そのものがマンションであるような物件が良いだろうと探した結果だそうだ。名古屋でも郊外に家を建てた人が年老いて、地下鉄の駅近くのマンションに移り住んで来ている。緑を求め、子どもたちのためにと、自分を犠牲にして遠距離通勤を続けてきた人たちだ。

 郊外は確かに緑も多く、たとえば1坪農園なども楽しめる。けれども買い物をするにも病院に行くにも、車が無くては動けない。展覧会や音楽会に行くとなると、やはり都会へ出ることになる。それならいっそ、都会で駅に近いマンションの方が便利だ。そんなことから都会帰りが生まれているようだ。彼も、「ふたりのうちはマンションで暮らし、ひとりになったら老人ホームに入るつもりだ」と言う。娘さんの近くに引っ越すのは、娘さんに面倒を見てもらうためではなく、家族が傍にいるという安心感のようだ。

 私たちの時代は、親元を離れて一家を構え、伝統に縛られない新しい生活スタイルを目指した。テレビ・洗濯機・冷蔵庫を揃える生活だ。テレビはカラーに、洗濯機は自動に、冷蔵庫は大型にと買い換えていった。さらにステレオやエアコン、FAX電話、パソコンを買い揃えた。家は狭いけれど、快適さはまずまずあった。1億総中流と言われた時代を作り上げたのだ。夫婦に子どもふたりという典型的な中流家庭である。

 その最期を迎え、親の面倒は見てきただけに、子どもにその苦労をさせたくないと思い、老人ホームで死を迎えてもいいと考えるようになった。子どもの方はというと、もう少しドライで、親が比較的広い土地を持っているなら、そこに二所帯住宅を建てて一緒に暮すというケースが増えているそうだ。中には広い土地でなくても、3階建ての住宅にして、親子で住む人もいる。「親としてはありがたいことではないの」と言うと、「いやいや、孫の面倒見でこき使われている」そうだ。役に立つだけでもいいと思うけれどなあー。

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