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七生養護学校事件の判決

2009年03月17日 22時31分43秒 | Weblog
 東京地裁で12日、都内の養護学校の元教諭らが都議3人などを訴えた裁判で、都議らの言動を違法行為と認める判決が出された。どういう事件かというと、2003年に土屋敬之(民主)、田代博嗣、古賀俊昭(ともに自民)の3人の都議が都立七生養護学校を訪れ、校長らに性教育に使われている人形などを提示させ、「常識では考えられない」「不適切なもの」と弾劾し、養護教諭に「こういう教材を使うのをおかしいと思わないのか」「感覚がまひしている」と非難した。そして、資料ファイルを持っていこうとする都議に養護教諭が「何を持っていくのか教えてください」と尋ねると、都議は「おれたちは国税と同じだ」とたしなめたというものである。

 判決は、「『単なる視察だった』という都議に対し、意見交換することなく、学校を一方的に非難した違法行為」(中日新聞)と認めた。また、同行した都教委に対しても「教育委員会は本来、政治的干渉から教育現場を守る役割がある。しかし、都議に同調し、教育の自主性をゆがめる行為に加担した」(中日新聞)と指摘した。「都教委が『学習指導要領に反する』として、(七生養護学校の)教諭らを厳重注意としたことも、『裁量権の乱用だ』と批判した」(朝日新聞)。「これは穏当な視察ではない。都議らは『政治的な主義、信条』にもとづいて学校教育に介入、干渉しようとした。教育の自主性を害する危険な行為で『不当な支配』にあたる。判決の言うところは、そういうことだ」(朝日新聞)。

 問題の発端は、2003年7月の都議会で土屋議員が七生養護学校の性教育を「世間の常識とかけ離れた教育だ」として「毅然とした対処」を都教委に求めたことにあった。石原都知事は「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしている」と応じた。視察はこのやり取りの2日後であったと中日新聞が報じているように、都議の視察はあらかじめ「世間の常識(?)からかけ離れている」と決めつけて行なわれたものだ。視察の際に教材を持ち帰ったのも都議らにすれば、国税特捜が行なう証拠集めのつもりだったのだろう。

 「七生養護学校では1997年、生徒同士の性的交渉が発覚し、その後も性に関した問題行動が多発、学校全体で性教育に取り組んでいた。知的障害がある子どもを対象とした学校で、わかりやすい性教育として、身体の部位の名称を歌詞にして歌ったり、性器模型付きの人形を用いていた。保護者との話し合いも重ねており、担当した養護教諭は都教委の研修に講師として招かれ、授業の様子を講演したこともあった」(中日新聞)。「同校の教育方法は当時、教育界で高く評価する意見もあった」(中日新聞)。「血のにじむような試行錯誤で教育を発展させてきたのに突然『異常な教育』と言われた」(毎日新聞)。

 先生たちの驚きと苦悩は計り知れないものがある。都教委の研修会に講師として招かれたのに、突然の非難とそして処分までも受けた。議会で追及された途端に手のひらを返す都教委の行為には腹も立っただろう。石原都知事は君が代や日の丸に対して起立と斉唱を義務づけ、これに従わない教職員を大量に処分してきた。七生養護学校の事件もこれと同じ「教育への不当な支配」に他ならない。
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