友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

引き際を間違えると‥

2015年03月29日 18時18分09秒 | Weblog

 大塚家具の経営権をめぐり、父と娘のケンカが毎日のようにテレビで取り上げられていたが、27日の株主総会で現社長である娘さんの続投が承認された。私が地域新聞を作っていた頃、隣りの市でジャスコが商店街から撤退する騒ぎがあった。ジャスコの社長だったか役員が地域の要請で説明に来たが、その時の言葉をよく覚えている。「小売業は10年が限度。生き延びるためには模様替えをするか、新たな場所で規模を大きくするしかない」。

 同じことをやっていたのでは必ず寂れてしまう。リフォームという手もあるが、その場所は狭いから撤退しかないというものだった。商売は非情なものだと痛感した。大塚家具の売り上げが伸びないのは、同じことをしてきたが、限界にきたことの表われである。娘さんは銀行にも勤め、市場調査の会社を興した経験もあるという。どういう商売をしなくてはならないかを考えていたから新しい経営を提案したのだろう。

 創業者である父親はいったん娘に会社を任せたけれど、不安に思っていたことは事実だろう。娘さんの経営方針から外れる社員が出るのは仕方のないことだが、会社の将来よりも自分のことを考える幹部社員はいるもので、そういう幹部が会長である父親にあることないこと言い付け、騒動を大きくしてしまったと私は思う。会長である父親は自分が作り上げてきたものを否定されたと思ったのかも知れない。創業者には苦労して会社を作り上げたという自負が強くある。

 私が地域新聞を作っていた時も、創業者である父親が後継者である息子を褒める人はいなかった。皆、不安に思っていて、父親がいなくても充分やっていけるのに、「自分が傍にいないと何にも出来ん」と口にする。子離れが出来ないというよりむしろ、創業者の自分を大事にして欲しい気持ちの表れである。創業者は自分の引き時が分からなくなってしまうようだ。

 今日、創立30年になる友人の演劇を観て来た。30年前に40代の彼女たちも70代である。脚本家は彼女たちが平等にライトを浴びるようにと配慮していて、いったい誰が主人公なのか、何が訴えたいのか、さっぱり分からない芝居になっていた。芝居好きも引退する時を見極めないといけないと痛感した。そして私自身も引き時を考えなくては‥。

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