ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

西陣織を知る手織ミュージアム「織成館」での工房見学。緻密な職人さんたちの技が集まりできる西陣織

2021-02-14 | 博物館・美術館

西陣織の織屋を営む「渡文」が運営する手織ミュージアム「織成館」。ミモロは、西陣織の品々や歴史的な資料などの展示を見学した後、いよいよ西陣織の工房へ向かいます。ここは、観光客のための見学施設ではなく、「渡文」の品を作る実際の現場です。

建物の2階にある工房には、西陣織を織る機がずらりと並んで、ガチャガチャと機が動く音が響いています。

ミモロは、機に座って、作業をなさっている職人さんのそばへ。その作業をじっと見つめます。手織りで帯を作っているところです。

集中力が必要とされる緻密な作業には、緊張感が漂います。

「西陣織はすべて分業制で、ここでは最終部分である織りが行われているんですよ」と「渡文」の織りに詳しいスタッフの方。

多くの工程と、それぞれの職人さんたちによって完成する西陣織。「昔からの伝統的な製作工程で、それはそれぞれの工程で熟練した技が求められ、それによって、見事な織物が完成するんです」と。

ここで少し西陣織の工程をミモロといっしょに復讐しましょう。
ミモロが「まるで絵画みたい~」と感激したのが、図案。

「どんな織物を作るかを決める1番最初のところだね~」。
伝統的な意匠をはじめ、お客様の思いなどを表現した図案は、その絵師の力量が問われます。

その図案を織物にするには、どのように織るかを決める設計図が必要。

5ミリほどの方眼紙に、その図案の趣を損なわないように色などを当てはめる設計図で、これが織りの基になります。
「う~細かい~。複雑なデザインを方眼紙に映すのってすごい技術だね~」とミモロ。「そうですね~。この専門家というべき職人さんの技なんですよ」と。織物のことに熟知していなければできない技。そう、普通のデザイナーさんやコンピューターでは、おそらく伝えられない図案のニュアンスが、職人さんたちによって表現できるようになるのです。

その設計図である「紋意匠図」を基に、作られるのが紋彫りによる穴の開いた紋紙。

「ここに織るためのデーターが納まっているんですよ~」と「なんかコンピューターみたい…」「そうですね~明治以降とり入れられたジャガード機は、西陣織に大きな革命をもたらしたもので、西陣織を経糸を操作するものなんです。それまでは、機の上に人が乗って、経糸の操作を行っていたんです~」と。「え~二人1組で織ってたんですか~」「はい…」「もちろん今は、この紋紙の部分をコンピューターにより処理できる技術も進みましたから、紋紙を使わないで織ることも増えています」

「あの~どうやって経糸動かすんですか?よく機のしたで織手さんが足バタバタしてるでしょ、あれ?」とミモロ。
「う~足、バタバタしてもだめですよ~。その前にどの部分の経糸を動かすか…それを支持する作業をしておかないと…」と。
模様の織る色糸は、緯糸で作られます。つまり緯糸が経糸の上を渡るように経糸を適切に動かさないと模様はできません。


「これ、なあに?」機に直角に下がるたくさんの糸…。

「それが経糸を動かす指示を与える糸なんです。よ~く見てください…ほら、小さな輪があるでしょ。そこに経糸を1本ずつ通して、経糸が上がるようにするんです」と。

「え~この穴に経糸1本ずつ通すの?キャ~気が遠くなりそう…」とミモロ。
本当にすごいとしか言いようがありません。それを専門にする職人さんもいらっしゃるのです。

つまりこの経糸動かす機械から下がる糸が、先ほどの紋紙に繋がっていて、織り手が足のペダルを踏むと、その糸が動いて、経糸を持ち上げ、緯糸の杼が経糸の上を通るスペースを作るのです。「う~なかなか難しい…わかるかな?」とミモロ。どうぞ実際に見てくださいね。

緯糸も紙による金糸を通す場合は、1本ずつ竹ヘラのようなものに絡めて、横に渡します。

「金糸を作る専門の職人さんもいるんですよ~」と。

渡した緯糸をトントンと機を動かす作業は、それから…つまりみんなが知るトントンとするのは、作業の終盤なのです。

「わ~すごい工程…」とミモロ。「でもね、実際に機を動かすまでには、その糸を準備する撚糸、糸染め、糸繰り、整経など、織る糸を準備する別の作業がたくさんあって、それぞれの職人さんが担当しています」と。「あ、知っている。前に経糸をつくる職人さんのところ行ったことがあるの、それもすごかった~」とミモロ。

「これ杼につける緯糸だ~」色とりどりの糸が用意され、図案にそって色選びが行われます。


帯で知られる織屋「渡文」の技術は、長年それを共に支える多くの職人さんたちの技術があってこそ。

さまざまな技術を駆使した作品も多く、今も、職人さんたちの挑戦が続きます。

「すごいね~」と改めて作品を眺めると、その感激もいっそう。

「鶴の恩返しのおつうって、織物の最後のパートしかやってないんじゃないの?」と突然言い出したミモロ。
確かに、物語では、トントンと機織りする場面しか出てこないけど、もしかしたら、経糸を張たり、杼を準備する場面って、すごく大変だから、それを見せないようにしてたのかも…「鶴の恩返しのおつうの織物って、緯糸部分に自分の羽を織り込んだんだね~」まぁ、そういうことになりますね。
「錦を織ったんでしょ…金糸どうやって作ったんだろ?」とまた、いつものミモロの想像が始まります。

今、それぞれの作業部分の職人さんたちが減っていて、それもこれから西陣織を持続させるためには大きな課題に…。
分業制というそれぞれの技術を高め、より優れた織物を生み出す西陣織。
コンピューターやAIが、どこまで代われるか…それは不明ながら、人間が長く培ってきた技術を失うことは避けたいもの。

「工房見学してから、西陣織を見ると、それなりの値段がするのも納得しちゃうね~」とミモロ。
「だって、本当にたくさんの職人さんがかかわっているんだもの…」


「工房をご案内くださってありがとうございました」とミモロ。「はい、どうぞまたいらしてくださいね~」

*「織成館」の詳しい情報はホームページで 工房見学は予約が必要。ぜひ訪れてはいかがでしょ。


<ブログを見たら 金魚をクリックしてね ミモロより
人気ブログランキング

ミモロの通販ショップ「ミモロショップ」はこちら

ミモロへのお問い合わせ・ご要望は、mimoro1888@gmail.comまで




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 西陣織の素晴らしさに触れる... | トップ | オンラインでも購入できる「... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

博物館・美術館」カテゴリの最新記事