みけの物語カフェ ブログ版

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0797「成長日記」

2020-02-06 18:18:01 | ブログ短編

 とあるアパートで変死体(へんしたい)が発見(はっけん)された。死体は内臓(ないぞう)が食(く)いちぎられていて、まるで猛獣(もうじゅう)にでも襲(おそ)われたかのようだ。部屋を訪(たず)ねた宅配業者(たくはいぎょうしゃ)が、郵便受(ゆうびんう)けの隙間(すきま)から中を覗(のぞ)いて、異変(いへん)に気づき通報(つうほう)したのだ。
 老刑事(ろうけいじ)が呟(つぶや)いた。「これは、人間(にんげん)の仕業(しわざ)なのか…。鍵(かぎ)がかかってたって言ったな?」
「はい」そばにいた別の刑事が答えた。「管理会社(かんりがいしゃ)に鍵を開けさせて入ったんです」
「おい、みんな出るんだ!」老刑事は部屋の中にいる鑑識(かんしき)たちに叫(さけ)んだ。「早くしろ! この中に何か潜(ひそ)んでいるかもしれん! すぐに出るんだ!」
 この後、完全防備(かんぜんぼうび)の刑事たちが部屋中くまなく捜(さが)したが、猫(ねこ)の子一匹現れなかった。その代(か)わりに、一冊(さつ)のノートが見つかった。その表紙(ひょうし)には、〈成長日記(せいちょうにっき)〉と記(しる)されていた。その内容(ないよう)は、何かの飼育日誌(しいくにっし)のようだ。何かが産(う)まれて、ものすごい早さで成長(せいちょう)し、そして増殖(ぞうしょく)していく様子(ようす)が描(えが)かれていた。
 老刑事がまた呟いた。「この被害者(ひがいしゃ)は、妄想(もうそう)男なのか? それとも、大真面目(おおまじめ)に――」
 ――翌朝(よくあさ)、現場(げんば)に何者かが侵入(しんにゅう)したと連絡(れんらく)が入った。現場に着いた老刑事は、割(わ)れた窓(まど)ガラスを見て言った。「これは、侵入したんじゃなくて、何かが部屋から出て行ったんだ。割れたガラスがみんな外へ飛び散(ち)ってるだろ。間違(まちが)いない」
「何かって…」一緒(いっしょ)にいた刑事が訊(き)いた。「それは、何なんですか?」
「分からんよ。しかし、早く見つけないと、次の犠牲者(ぎせいしゃ)が出るかもしれん」
<つぶやき>これはホラーなのかな? 正体(しょうたい)が分からないものほど怖(こわ)いものはないです。
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