みけの物語カフェ ブログ版

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0785「しずく72~呼び出す」

2020-01-25 18:34:35 | ブログ連載~しずく

 柊(ひいらぎ)あずみはうなずいて言った。「そうね。彼女の戸籍(こせき)を調(しら)べてみたけど、今の両親(りょうしん)の養女(ようじょ)ってことになってたわ。本当(ほんとう)の親のことは分からなかったけど、私たちと同じかもね。でも、彼女は自分(じぶん)が能力者(のうりょくしゃ)だって気づいてないと思うわ。他の能力者に操(あやつ)られたことで、覚醒(かくせい)が始まったのかもしれない」
「これから、どうするんです?」神崎(かんざき)つくねは心配(しんぱい)そうに言った。「あたしたちの仲間(なかま)に…」
「それは、水木(みずき)さんが決(き)めることよ。でも…、能力者だってあいつらに知られたら、彼女の命(いのち)が狙(ねら)われるかもしれないわね。まず、彼女に能力者だって自覚(じかく)させないと」
「あたしにも手伝(てつだ)わせて下さい。あたし、どんなことでもやりますから」
 ――その日の夜、つくねは涼(りょう)を学校に呼(よ)び出した。夜の方が誰(だれ)にも気づかれないですむからだ。回りを気にしながら、つくねは涼を校舎(こうしゃ)の屋上(おくじょう)まで連れて行く。涼はブツブツと文句(もんく)を言いながらついて来た。屋上(おくじょう)へ出る扉(とびら)の前まで来ると涼が言った。
「なあ、屋上に出たらダメだろ。もし、先生たちにばれたらどうするんだよ」
 つくねは振(ふ)り返ると、「あら、あなたって校則(こうそく)とか気にするタイプだった?」
「いや…、そりゃ、やっぱりまずいだろ? それに、そこは鍵(かぎ)がかかってるから…」
 つくねは扉を開けてニッコリと微笑(ほほえ)んで、「ほら、開いてるわよ」
「うそだろ…? どうして…」涼は唖然(あぜん)とするばかりだった。
<つぶやき>校則違反(こうそくいはん)はダメでしょ。ちゃんと守(まも)って…、危険(きけん)なことはしないようにね。
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