みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0385「別れなさい1」

2018-11-20 18:59:59 | ブログ短編

 貴子(たかこ)は、いつも彼と待ち合わせをする喫茶店(きっさてん)で雑誌(ざっし)を読んでいた。
 その時、誰(だれ)かに声をかけられた。「やだ、貴子じゃない。久(ひさ)しぶり。元気(げんき)だった?」
 それは大学の時の知り合いで、顔は何となく覚(おぼ)えてるんだけど、名前(なまえ)が出てこない。
「あたしよ、木下幸奈(きのしたゆきな)。こんなとこで会えるなんて、すごい偶然(ぐうぜん)ね」
 彼女は貴子の前の席(せき)に座(すわ)った。もうすぐ彼が来るので、貴子は戸惑(とまど)った。でも、彼女はそんなこと気にもしないで話しかけてくる。
「ちょうど良かったわ。ねえ、近藤(こんどう)先輩のこと覚えてる?」
 覚えてるもなにも、今、貴子は近藤先輩(せんぱい)と付き合っている。もうすぐ、ここに来るのだ。
「あたしね、近藤先輩のこと好きになっちゃった。今度、告白(こくはく)しようと思うの。貴子、どう思う? あたしたち、うまく行くと思う?」
 貴子は驚(おどろ)いた。幸奈が彼のことを知ってるなんて。だって、大学にいた頃(ころ)、二人に接点(せってん)なんかなかったはずよ。貴子は訊(き)いてみた。
「どうして、近藤先輩のこと知ってるの? 私とだって、そんなに話したことないのに…」
「あたしね、大学の頃から、先輩のこと気になってて。この間、偶然会っちゃったの。今日みたいにね。あたし、何か運命(うんめい)感じちゃって。そういうことって、あるでしょ?」
「ええ…。でも、先輩、好きな人がいるんじゃないかな…。きっと、いると思うよ」
<つぶやき>これは偶然なんでしょうか? それとも、必然(ひつぜん)。波乱(はらん)の予感(よかん)がしてきます。
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