みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1034「恋愛未満」

2021-02-22 17:48:56 | ブログ短編

 とある居酒屋(いざかや)の片隅(かたすみ)。二人にとってここは馴染(なじ)みのお店のようで、女の方は周(まわ)りを気にすることなく呟(つぶや)いていた。「あ~ぁ。何であたしには、誰(だれ)もいないのよ」
 男が相(あい)づちを打つように、「俺(おれ)がいるだろ。もう、あんまり飲(の)み過ぎるなよ」
「ねぇ、あたし、結婚(けっこん)したいの。どうして、あたしの周りには男がいないのよ」
「まぁ、仕方(しかた)ないんじゃないか。お前、面倒(めんど)くさそうだし…」
「それ、どういう意味(いみ)よ。あたしはね、面倒見(めんどうみ)がいいだけで、面倒くさくなんかないから」
「そこが、面倒くさいんだよ。あれかもな…。お前が必死(ひっし)すぎて、男の方がびびちゃうんじゃないのか?」
「何それ。――あっ、ここにも、男がいるじゃない。君(きみ)、独身(どくしん)だよね」
「止めろよ。俺は、お前に恋愛感情(れんあいかんじょう)なんかまったくない」
「何でよ。そんなにきっぱり言わなくても…。あなたには、思いやりってのはないの?」
「だから…、付き合ってやってるだろ。友(とも)だちとしてな」
「もう、いいわよ。あ~ぁ、どっかに…いないかな~ぁ。あたしと、結婚してくれる…」
「何で、俺を見ながら言うんだよ。俺は、お前と結婚するつもりはない」
「なんて意地悪(いじわる)なのよ。あたしと、こんなに親密(しんみつ)に付き合ってるくせに…」
「お前、飲み過ぎてるだろ? もう帰るぞ。送(おく)って行ってやるから――」
<つぶやき>ここを抜(ぬ)け出すには、きっかけが必要(ひつよう)かも。この男はどう思っているのか?
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