みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0601「情報を制するもの」

2019-07-15 18:23:08 | ブログ短編

 軍服(ぐんぷく)を着た男が、女に歩(あゆ)み寄(よ)って言った。「君(きみ)は、ダンカン将軍(しょうぐん)のことで話があるとか」
 女はおずおずと、「あたし、バーで女給(じょきゅう)してて…。お店(みせ)には軍人(ぐんじん)さんも大勢(おおぜい)来るから、いろんな話を聞けるんです。だから…」
 ダンカンとこの男は、軍の中で権力争(けんりょくあらそ)いをしていた。どちらがこの国を支配(しはい)するのか、それによってこの国の運命(うんめい)まで変わってしまうのだ。女は男の耳元(みみもと)で何かをささやいた。そして、紙切(かみき)れを手渡(てわた)した。男はそれを見ると顔色(かおいろ)が変わり、部屋を飛び出して行った。
 女は部屋の中で一人になると、目つきが変わった。男の机(つくえ)の上にある端末(たんまつ)を操作(そうさ)して、ある情報(じょうほう)をペンダント型の記憶媒体(きおくばいたい)にダウンロードした。女が部屋を出ようとしたとき、さっきの男が戻(もど)って来た。女は驚(おどろ)いて立ち止まる。男は女の前に立ちふさがり、
「やっぱり、お前は敵国(てきこく)のスパイだな。何をねらって来たんだ?」
 男は女からペンダントを取り上げると、女の服(ふく)の襟(えり)をつかんで嫌(いや)らしい笑(え)みを浮(う)かべて言った。「じっくりと、その身体(からだ)に教(おし)えてもらおうか?」
 女は不敵(ふてき)な笑(え)みを浮(う)かべて、「いいわよ。でも、あなたにできるかしら?」
 男は女の首(くび)をつかんで言った。「お前が行くのはベッドじゃなく、暗い監獄(かんごく)の拷問(ごうもん)室だ」
 軍服の男たちが入って来て、女を引きずるように部屋から連れ出して行った。男はほくそ笑んでささやいた。「これで、俺(おれ)はすべてを手にすることができる。ハハハハ」
 その日のうちに、男は何者かに暗殺(あんさつ)された。そして、女は密(ひそ)かに国外退去(こくがいたいきょ)となった。
<つぶやき>いろんな人の思惑(おもわく)が交差(こうさ)して、もう何が何だか分かんなくなってきてます。
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