まさか、この俺(おれ)が婚活(こんかつ)をすることになるなんて思ってもいなかった。付き合っていた彼女と結婚(けっこん)するとずっと思っていたし、そうなるはずだった。俺は何を間違(まちが)えたのか? 今だに何で彼女に振(ふ)られたのか分からないし、納得(なっとく)できるわけがない。
でも、ここは吹(ふ)っ切らなくては…。いつまでも引きずるわけにはいかない。早く次(つぎ)の彼女を見つけて…。そうじゃないと、故郷(こきょう)の両親(りょうしん)や親戚(しんせき)のおばちゃんが縁談(えんだん)を勝手(かって)に進(すす)めて、田舎(いなか)に戻(もど)るはめになってしまう。それだけは何としてでも避(さ)けなければ…。
俺は結婚相談所(そうだんじょ)で何人かの女性と会ってみた。でも、会うたびに結婚のハードルが高くなっていくのを感じた。俺にできるのか? 俺には女性の気持ちなど理解(りかい)できない。俺には、結婚なんかむいてないのかもしれない。不安(ふあん)が募(つの)るばかりだ。
そんな時、次の相手(あいて)を紹介(しょうかい)された。写真(しゃしん)を見て驚(おどろ)いた。とても美(うつく)しい女性だ。俺は思わず呟(つぶや)いた。「何でこんな娘(こ)が婚活してるんだ? こんな可愛(かわい)いんだから必要(ひつよう)ないだろ」
見合(みあ)いの当日(とうじつ)。彼女を前にして思ってしまった。写真通(どお)りの女性だ。修正(しゅうせい)とかしてなかったんだと…。これは掘(ほ)り出し物(もの)かもしれない。ここは正攻法(せいこうほう)でいくべきか?
でも、彼女は挨拶(あいさつ)をかわしただけで、それ以上(いじょう)何もしゃべらなくなった。俺が何を話しても相(あい)づちを打(う)つだけだ。こんな女性は初めてだ。恥(は)ずかしがり屋(や)なのか…。それとも、これは作戦(さくせん)で…こっちのことを値踏(ねぶ)みしてるのか? これは…どうする?
<つぶやき>あのね、そんな気持ちで向き合ってはダメかもね。真摯(しんし)に取り組(く)みましょう。
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