みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0916「検索したら」

2020-07-01 18:10:02 | ブログ短編

 僕(ぼく)は、夜中(よなか)に部屋(へや)の扉(とびら)を叩(たた)く音で起こされた。扉の向こうから友だちのか細(ぼそ)い声がした。僕が扉を開けると、外には蒼白(あおじろ)い顔をした友だちが立っていた。友だちは倒(たお)れ込むように部屋に入ると、僕の腕(うで)をつかんで言った。
「俺(おれ)…、やっちまったんだ。あの言葉(ことば)…、検索(けんさく)したんだよ」
「えっ? 何のことだよ。あの言葉って…」
「この間、お前が言ってたやつだよ。絶対(ぜったい)に…、検索するなって言ったろ」
「ああ、あれか…。あれは、冗談(じょうだん)だよ。まさかお前、本気(ほんき)にしたのか?」
 友だちは、震(ふる)えながら首(くび)を振(ふ)ると、「いいや…、あれは、冗談じゃなかったよ。あれは、真実(しんじつ)だ。俺…、悪魔(あくま)と契約(けいやく)しちまったんだ」
「バカだなぁ。あれは、僕の作り話だよ。飲み会で盛(も)り上がろうと思って…」
「あけくいまやのく…。この言葉が、頭から離(はな)れないんだ。忘(わす)れようとしても、頭の中でぐるぐるとこの言葉が繰(く)り返されるんだ。だから俺…、やっちまった……」
 友だちは、僕に血(ち)に染(そ)まった手を見せた。僕は、あまりのことに息(いき)が止まりそうになった。僕は、震える声で訊(き)いた。「お前…、どうしたんだよ? 何があったんだ」
「悪魔が、俺にささやいたんだよ。やっちまえって…。だから…、彼女を――」
 僕は、何が何だか分からなくなった。茫然(ぼうぜん)としていると、友だちが僕に身体(からだ)を押(お)しつけてきた。腹(はら)の辺(あた)りに痛(いた)みが走った。友だちが離(はな)れると、僕の服(ふく)は真っ赤に染(そ)まっていた。
<つぶやき>これって恐(こわ)いやつじゃないですか…。もう、絶対(ぜったい)にやっちゃダメだからね。
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