みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0928「競技会場」

2020-07-25 17:59:57 | ブログ短編

「やっぱりムリです。あたしなんかが出ても、勝(か)てる気がしません」
「今になってなに言ってるんだ。これは、チャンスなんだぞ。それを無駄(むだ)にするのか?」
「だって監督(かんとく)…。あたしは補欠(ほけつ)ですよ。急病(きゅうびょう)で出られなくなった人の代(か)わりです。他の選手(せんしゅ)を見て下さいよ。みんな自信満々(じしんまんまん)で…、あんな人たちと闘(たたか)えるわけないです」
「やる前から怖(お)じ気づいてどうするんだ。補欠とはいっても、お前だって実力(じつりょく)はあるんだ」
「気休(きやす)めはやめて下さい。あたしなんか、全然(ぜんぜん)ダメです。監督だって分かってるはずです」
「そ、それは違(ちが)うぞ。お前は、ダメなんかじゃない。その証拠(しょうこ)に、ちゃんとここにいるじゃないか。それは、お前に実力があるからだ」
「ほんとに……。あたしに…」
「ああ、もちろん。大丈夫(だいじょうぶ)だ。勝てなくても…、棄権(きけん)するよりはましだ」
「やっぱり…、勝てないって思ってるんだ。あたし、期待(きたい)もされてないんですね」
「おい、泣(な)くなっ……。いいか、期待してないわけじゃない。勝てるものなら勝ってもらいたい。しかしな…、お前はメンタルが弱(よわ)すぎる。それが弱点(じゃくてん)だ」
「そんなこと、分かってますよ。でも、仕方(しかた)ないじゃないですか…。あんな大勢(おおぜい)の前でやるんですよ。それを考えただけで、足が震(ふる)えて…」
「分かった。じゃあ、周(まわ)りの人間(にんげん)はカボチャだと思え。ここは大きな畑(はたけ)の真(ま)ん中だ」
<つぶやき>いやいや、そう言われても、そんなこと思えないでしょ。監督も大変(たいへん)だよね。
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コメント
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