政府は福島第1原発事故後、エネ基で原発の依存度を「可能な限り低減」する方針を掲げてきたのですが、岸田文雄政権発足以降、2023年のGX基本方針などで「原発を最大限活用」と転換しました。
エネルギー安全保障や二酸化炭素の排出抑制を回帰の理由に掲げているが、事故の危険性に加え、コスト高騰のリスクもはらんでいます。
米国では2023年、民間投資会社ラザードが発電所新設時の電源別コスト「均等化発電原価(LCOE)」を発表ており、原発のコストの平均値は、陸上風力や太陽光発電の平均の3倍以上だったそうです。
経年比較でも原発のコストは上がり続け、2014年以降、太陽光や陸上風力より高くなっています。
経済産業省の作業部会がLCOEを計算していて、2021年の調査では2030年新設の想定で、原発のコストは1キロワット時あたり最低で11.7円と、前回2015年、前々回2011年を上回りました。
一方、陸上風力や太陽光のコストは2021年でみると、原発とほぼ変わらなかったそうです。
東北大の明日香寿川教授(環境政策論)は、「原発の建設費用は1基あたり1兆~2兆円」と説明。コスト上昇の要因として、事故対策費用がかかる上、量産が難しいことを挙げる。「最近の原発は事故対策を強化した新型炉が中心で、技術が継承されておらず、高くつく。太陽光と風力は大量生産で安くなったが、この効果が原発では働きにくい」と指摘しています。
原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「近年はコスト高で原発の廃炉や計画断念、建設遅延が相次いでいる」と指摘しています。
実際に国内の原子力研究者らでつくる研究会のまとめでは、米国で2011年以降、13基が経済的な理由で閉鎖されました。
松久保氏は「国内も、原発の活用で電気代が下がり、国民の負担軽減になるとは考えにくい」と話しています。
原発は安いとは言えず、他の理由を探さなければいけないようですね。
どのような嘘を挙げてくるのか、注目していきましょう。
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