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熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

TPP

2015-08-08 14:15:52 | Weblog
TPP交渉が大詰めを迎えていますが、暗礁に乗り上げそうな雰囲気もしています。

ただ、交渉内容が秘密なので、国民に正確な情報が伝えられていないのが問題ですね。

アメリカの非営利・非政府団体「KEI」が8月4日、TPPの知的財産権分野の秘密交渉について、「リーク文書」をネットで発表したそうです。

文書は2015年5月11日付で、ネットで特に注目されている「著作権侵害の非親告罪化」については、日本が提案した「市場での著作権行使に影響がある場合に、対象を限定できる」という注釈が採用され、日本は賛成に回ったことが読み取れるということです。

KEIが公開したリーク文書は、知財交渉の一部分で、リーク文書は全部で95ページ分あり、今後、随時公開していくというから楽しみですね。

この文書は、ハワイで行われた交渉「マウイ・ラウンド」の直前のものだということです。

リーク文書では、非親告罪化について定めた「監督当局は、権利者らからの申告がなくても、自己判断で訴追を始めることができる」という条文について、日本の反対意見・条件提示は付いていないそうです。

また、日本が提案していた「著作権者の、市場での著作物利用能力に影響がある場合に、対象を限定できる」という条件が、注釈[251]として採用されているという記述から判断すると、日本は賛成に回ったとみられます。

著作権侵害の非親告罪化については、日本政府が賛成に回ったと、各メディアが報じていましたが、今回の文書は、その報道を裏付けるものといえそうですね。

日本のルールでは、著作権侵害は、権利者の訴えがないと刑事責任が問われない「親告罪」となっていますが、TPPではこれを「非親告罪」にすることが検討されています。

「非親告罪」になれば、監督当局が独自の判断で著作権侵害の刑事責任を問うことができるようになるため、パロディや二次創作などを萎縮させるとして、専門家の間に強い懸念がありますが、日本が賛成に回り、それも日本の提案が採用されたとなれば、なぜ、提案したのかという説明責任が生じます。

果たして、日本政府はどのような説明をするのか。

「他の国が賛成したので仕方なく」という言い訳はできませんね。









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