徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:中山七里著、『死にゆく者の祈り』(新潮文庫)

2023年05月07日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行
商品説明
死刑執行直前からの大どんでん返し! ?
絞首台へ向かう友の魂を救えるか――。
究極のタイムリミット・サスペンス! !
何故、お前が死刑囚に――。教誨師の高輪顕真が拘置所で出会った男、関根要一。それはかつて、雪山で遭難した彼を命懸けで救ってくれた友だった。本当に彼が殺人を犯したのか。若い男女二人を無残に刺殺したのか……。調べれば調べるほど浮かび上がる、不可解な謎。無実の罪で絞首台に向かう友が、護りたいものとは――。無情にも迫る死刑執行の刻、果たして教誨師の執念は友の魂を救えるのか。人気沸騰中の“どんでん返しの帝王"による、予測不能・急転直下のタイムリミット・サスペンス‼

『死にゆく者の祈り』は、死刑囚のために説教をする教誨師が探偵役を務める一風変わったミステリーですが、上の商品説明にあるように、刻々と迫る死刑執行の刻限に無罪証明が間に合うかどうか、最後の抵抗が功を成すか否かというギリギリの緊迫感を味わえるサスペンスでもあります。
主人公の高輪顕真の出家の動機、死刑囚となっていたかつての友・関根要一の守ろうとしたもの、そして、本当の真犯人の昏い動機。それらが鮮やかに織りなされた綾の如く紡がれ、読む者の心を絡め捕ります。
『ネメシスの使者』とは違った切り口で、死刑制度の可否について考えさせられる作品です。


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