徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:中山七里著、『いまこそガーシュウィン』vol. 1~3 (宝島社)

2023年05月21日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行
『いまこそガーシュウィン』はデジタル限定配信の4回連載であるため、一話が短く、少々物足りない感じがします。
音楽モチーフのストーリーは、デビュー作『さよならドビュッシー』以来の岬洋介シリーズの系譜に連なる作品です。
ショパン・コンクールで6位入賞という微妙な成績のピアニストのエドワードが、次のコンサートツアーにやる曲に悩みつつ、全米に広がる「Black lives matter」運動と、それに対する差別主義的発言を繰り返すトランプ大統領候補という世情にも憂えています。
差別が先鋭化する空気を音楽で吹き飛ばそうと、エドワードは文化融合的なガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」を演目に入れることを思いつきます。2台のピアノで弾く相手は、かつて戦場で5分間の演奏で人命を救ったという伝説の男・岬洋介。こちらが表のストーリーライン。

裏のストーリーラインは、差別主義の新大統領暗殺を請け負う〈愛国者〉の物語。この〈愛国者〉の表の顔は演奏家でもあるため、エドワードたちの「ラプソディー・イン・ブルー」のための演奏者オーディションに応募し、ついに裏と表が交差することになります。
さて、その先は? 暗殺が実現してしまうのか? コンサートは成功するのか?
舞台がアメリカであるため、感情移入がしづらいきらいがありますが、十分に読ませるミステリーです。


商品説明
本シリーズはデジタル限定で全4回連載予定。3か月毎に新刊を配信予定です 。
ショパン・コンクールで入賞し、アメリカで指折りのピアニスト、エドワード。彼は大統領選挙により変貌しつつある国内の様子に憂い、音楽を通して何かできないか模索していた。一方、暗殺者である〈愛国者〉はある男から新大統領の抹殺を依頼される――。



商品説明
アメリカで指折りのピアニスト・エドワードは、大統領選挙により変貌しつつある国内の様子に憂い、音楽を通して何かできないか模索していた。そんなとき、彼は日本で起きた出来事を知り衝撃を受ける。6年前、エドワ―ドが入賞したショパンコンクールで、鮮烈な演奏をしたあの男がとあるコンサートにサプライズ登場したのだ。羨望、嫉妬、感激….様々な感情が渦巻く中、エドワ―ドはある作戦を閃く――。 


商品説明
アメリカで指折りのピアニスト・エドワードは、大統領選挙により変貌しつつある国内の様子に憂い、音楽を通して何かできないか模索していた。そして彼はついに、6年前のショパン・コンクールで鮮烈な演奏をし、たった五分間の演奏で人命を救った男・岬洋介との競演コンサートを取り付ける。岬と譜面を囲み、意見を交わすことに喜びを覚えるエドワード。しかし、それは束の間の楽しいひと時にすぎなかった。一方その頃、新大統領抹殺の依頼を受け、計画を進めていた〈愛国者〉は、依頼主の男から思わぬ提案をされ――。 


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