みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

読書記録2006-3

2006-02-06 | book
8「35歳症候群」麻生圭子 充実度★★★★☆
自分も35歳であり、かねてから女の35歳という年齢にちょっと興味を持っていたので、とてもタイムリーで面白かった。「そ、そうそう、そうなんだよね」なんてうなずいてばかりだった。現代の35歳って、見かけは若いけど、中身は(特に体の面で)けっこう老化が進んでたりするということを再認識させられた。麻生さんは、「ユーガッタ・チャンス」や「セシル」などのヒット曲を作詞された方。以前、私はK出版社で雑誌編集をやっていたころに彼女の連載エッセイの担当をしていたのだ。この本はそれよりも数年前に書かれたもので、これを読んでいたらもっといろんなこと話せたのになあなんて思った。(でもそのころはまだ一応20代だったのでピンとこなかったかも?)最後のほうはほとんど麻生さんの自伝。人に歴史ありですね。

9「蛍川・泥の河」宮本輝 充実度★★★☆☆
友人Yが、自分の好きな本だと言ってプレゼントしてくれた本。うれしかったので、心して読んだ。
「泥の河」は事実上、宮本輝氏のデビュー作。小学生の信雄から見た、戦後とはいえ決して楽ではない日本の暮らしぶり、あっけなく死んでいく命、人々との思いの絡まりが描かれている。せつなかったっす……。身を寄せ合って生きていく、小さいけれどたくましい人間たちの姿が心にせまった。

10「幻の光」宮本輝 充実度★★★★☆
これも友人Yがくれた本。4作からなる短編集。表題作の「幻の光」が一番よかった。宮本氏は男性なのに、彼の書く主人公の女言葉は妙になまめかしい。なんでこんなに女心がわかるのだろう? 「人は精が抜けると死にたくなる」という一文にはどきりとした。自殺って、はっきりした理由とかより、そういうことのほうが引き金になるんだろうな……などとしんみりした。
余談だけど、友人Yが宮本輝氏のことを「テル」と言うのがすごく新鮮でした。

11「ああ言えばこう食う」阿川佐和子・壇ふみ 充実度★★☆☆☆
期待しすぎたらしい。いまいちでした。親友同士の女ふたりが往復書簡という形でリレーエッセイをしているのだが、お互いを意識しながら書いているので、なんだか気をつかってるなーというのが伝わってきてしまった。相手をわざとおとしめつつ褒めてたり、自分を必要以上に落としたり、という女っぽい小技が見えちゃった感じ。まあ、こんなひねくれた読み方をせず、素直に楽しめばいい本なのですが。阿川さんのエッセイは単独のもののほうがいいな、と思った。

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2 コメント

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また見つけたよ! (友人Y)
2006-02-06 20:28:18
テルの本、久々またいい本、見つけました。

『五千回の生死』っていう9つの短編集です。 まだ4編だけしか読んでいないけど、この文章、その情景が私の求めるテルらしくてGoodです。 読み終わったらお貸ししますので、是非読んでみてください。 『ドナウの旅人』は私的にはイマイチでした。 人の侘しさや可笑しさが伝わってくる文章が書けるテルの世界、好きです。
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宮本輝は知っている (ミチコ)
2006-02-07 13:23:35
おお、友人Yではないか!

私は短編集が好きみたい。

楽しみに待ってます♪



テルが「泥の河」を書いたのは31歳のときだったらしい。

その若さであの哀愁……。いや、31にもなったらあのくらいの人間の深みを持っていなくちゃいけないのか。

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