みちくさ茶屋

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「舟を編む」ほか読書記録

2012-09-09 | book

「舟を編む」三浦しをん
本屋でリクエストしたのが3月、長い待ち時間を経てやっと手元に。
なので、書評はいろんなところで目にしていまっていて、
「少女マンガのよう」というレビューを見尽くしていたので
(というか、制作側もそれを狙ってるよね)
本当にコミックを読むような感覚で、コマ割りまで見えるようでした。
辞書づくりに人生を捧げる人々というマニア度はおもしろいし、
まじめくんと香具矢さんの恋愛がひとだんらくつくあたりまでは楽しくすいすい読めました。
「でもこれ、いろいろうまくいきすぎだよなー」とうがった見方をしはじめたころ、
チョイ役と思われた西岡くんがクローズアップ。
本を一冊通して、私は西岡くんが一番人間味あっていいキャラだったと思います。
著者のひとりの先生に対する態度には、編集者としてそれはないだろう!と引きましたが。

岸辺みどりの登場後、13年の月日が流れたのだとわかるまでに少しかかりました。
その後はラストまで、なんとなくだるだると読み終えた感じ。
やさしくて愛があって、みんないいひとで、いいお話……なんだけど、
なんだろう? 
「ああ、おもしろかった、読んでよかった」という読後の満足感は得られず。
きれいにまとまりすぎてるのからかな。題材が興味深いだけに拍子ぬけしたというか。
本を読むときに「揺さぶられるような圧倒的な何か」を求めてしまう私が期待しすぎなのか。


「ヘルタースケルター」岡崎京子
「揺さぶられるような圧倒的な何か」があるか、という意味では抜群の手ごたえ。
このブログにはあまり漫画レビューを書かないのですが、これは書き残しておきたい。
「原作を読んでみて、映画を観るかどうか決めよう」と手にとりましたが
結論から言って、はい、映像は遠慮させていただきます…
それにしても、羽田みちこの役がどうして寺島しのぶさんなんでしょうか?
これ、若いふつうの子だから成り立っていたキャラだと思うんですが。
そこは映画観て確認しろってことかー。いや、観ないぞ。

漫画だったからというより、「岡崎京子だったから」没頭して読めた作品。
時々「みなさん」という言葉が出てくるんだけど、それが誰なのかを考えると深い。
このちっぽけな私もきっと、りりこの狂気を動かす「みなさん」のひとりだ。
「欲望だけが変わらずそこを通り過ぎ、名前だけが変わっていく」この世界。
キレイになりたい、モテたい、お金持ちになりたい、
その欲望は代償を払わなければ手に入れられないのだろうか。
そして美容整形(りりこの場合はもはやその枠を超えてるけど)ってどうなんだろうね、
これ読むとビビるよね。私、ヒアルロン酸注入は興味あるんだけど、どれくらい安全?


「馬屋古女王」山岸涼子
おもしろかった!!
「日出処の天子」の続編というか、サイドストーリー。
聖徳太子の子供たちのお話なのですが、聖徳太子の死を迎えた際、
それまで隠されていた末娘の出現により、翻弄されていく人々… 
ああ、これ以上言っちゃうとネタバレになってしまう。
文句なしにおもしろいです。
読み終わりたくないよー、ずっと読んでいたいよーと思える、久しぶりに出会えた傑作。
図書館で借りて読みましたが、もう絶版なので、Amazonの中古出品を買おうか検討中です。


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