みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

読書記録2006-30

2006-12-20 | book
読書記録、一気に。

68「池上彰の新聞勉強術」池上彰 充実度★★★★☆
友人が編集担当した本です。
鞄に入れて電車で読むのに最適でした。
ひとつひとつのコラムが短めでぎっしりなのがグー。
私もかつては「新聞」を作っていた時代があるんだけれど、
シンブンというものをこんなに立体的に、多角的に捉えたことはなかったな……と
省みました。
インターネットがここまで普及して、ペーパーレス時代と言われているけど、
新聞は絶対に廃れることはない、と確信した。
JR西日本の事故についての、いろいろな新聞記事の「読み比べ」が面白かったです。
それぞれの新聞社の「書き手の顔」が見えるようでした。
ニュースって、同じことが起きていても同じようには伝わらないので、
読み手が何をどう選んで捉えるかが大事だなと思った。
池上氏の新聞に対する愛さえ感じた本でした。

69「風味絶佳」山田詠美 充実度★★★★☆
そうだ、山田詠美がいたじゃないか! そう思わされる一冊でした。
「肉体労働者」である男性とのロマンスが描かれた短編集。
山田詠美の手にかかると、鳶職もガソリンスタンド(ガスステイションというのが
山田流らしい)のスタッフも引越し屋さんも、みんなセクシーになってしまうのがすごい。
中でも「夕餉」という作品がすごくよかった。
ゴミ収集員と恋に堕ちて家を飛び出した人妻の話なんだけど、
これだけは何度も読み返してしまった。料理の繊細な描写にはため息……。
スープに浮かんだアルファベットのマカロニで英単語を作りあうところなんて、
涙なしには読めませんでした。
表題作の「風味絶佳」は映画にもなっています。

70「よその子」トリイ・ヘイデン 充実度★★★☆☆
同僚のN嬢が貸してくれた、著者の体験によるノンフィクション。
識字障害や自閉症といった子供たちを補習教室で受け持つ教師のトリイ。
その中のひとり、12歳で妊娠している少女・クローディアが特に印象的だった。
胸の痛むシーンにいくつか遭遇したが、それ以上に、
きっとここに書けないこともたくさんあったのだろうと思う。
子供とのかかわりももちろん、トリイが恋人から「仕事と僕とどっちをとるんだ」と言われ
ケンカになってしまう場面も考えさせられました。

71「死の壁」養老孟司  充実度★★★★☆
「バカの壁」はぜんぜんいいと思わなかったけど、これはおもしろかった。
「死」というものの概念や「死体」そのものについて書きつつ、生のことを説いている。
おばあちゃんのお葬式の時のことなど、しんみりと思い出してしまった。
養老先生の本はいくつか読んだけど、これが一番好きかもしれない。

72「ジコチューな3歳児」プチタンファン編集部  充実度★★☆☆☆
子供が「魔の2歳児」のときは「3歳になれば大丈夫」と思っていたのだが、
3歳は3歳で「ジコチュー」なのか……。とほほ。
このジコチュー3歳児にどう対応すればいいのかは、はっきり言って
この本を読んだくらいではあまり参考にならなかったのだが、
ここに挙げられた例がこうたろうのやることとかなり似ていて、
「ま、3歳なんてこんなもんか」とは思えたのでそれはよかった。
今は「4歳になると全然違うわよ~! 自立するわよ~!」という
先輩ママたちの言葉を信じてがんばります。

73「ピーヒャラドンの謎」如月小春  充実度★★★★☆
演出家、如月小春さんの子育てコラム。
保育園入園バトルや、「ひとりっこはかわいそうか!?」とか、
そうそう、あるある、と共感しまくり。
かなり前に書かれたものだけど、古さを感じさせないのは、
国の制度や世間の目があんまり変わってないってことかな~?
今、このブログを書こうと思ってネット検索したら、如月さんが2000年に
お亡くなりになっていたことを知ってびっくりした。44歳だったそうです。
ご冥福をお祈りします。

74「ダダこね育ちのすすめ」阿部秀雄  充実度★★★★☆
子供の「ダダこね」に手をやいているお母さん、一度読んでみてください。
私もまったくそのひとりだったけど、この本を読んでちょっとラクになりました。
幼児期の正しいダダこねが、いかに健全で大切なものであるかがよくわかった。
たとえば、保育園から帰ってきて、夕食前に「お菓子ちょうだい!」とごねるとき。
子供の本当の要求は「お菓子」ではないんだということ。
頭ごなしに「ダメ!」とやるのではなく、
「そうか~、お菓子が食べたいのか。保育園でがんばってきたから、おなかがすいたんだね。
でもお母さんがこれからごはん作るよ。だからもう少し待っててね」。
と、まず共感することが大切なんだとか。
もちろんそれでもダダこねは続行するけど、「わかってもらえている」という
安心感を得られることがポイントみたいだ。
私もちょこちょここれを応用していたら、自分自身のイライラが激減した。
本の後半で、幼少のころダダこねがきちんとできなかった思春期の子の暴走について
書かれていて、それを読んで「ホントに子育てが大変なのは思春期なのかも……」と
ちょっと青くなったりもしたが、まあ今は目の前の小さなこうたろうと
仲良く過ごすことにしよう。