8日の見学会の続きです。
東京農工大学の見学をおえて、歴史WGのメンバーと都立小金井公園の中にある
「江戸東京たてもの園」に行きました。
日比谷公園の4.8倍という広さの小金井公園の中に
東京都が1993年江戸東京博物館の分館として建設したもので、
現地保存がむずかしい文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示するとともに、
貴重な文化遺産として次代に継承することを目的としているそうです。
はじめて訪れたので、どんな建物があるのかわからなかったのですが、
最初にボランティア・ガイドの人が全体の建物をレクチャーしてくれました。
茅葺屋根の農家から下町の商店街、田園調布の家や財閥の家、政治家の家まで、
幅広いジャンルの27棟のたてものが広大な敷地にゆったりと配置されています。
ちょうど紅葉も終りに近づき、
絨毯のよう敷き詰められた落ち葉をカサカサと踏みしめながら見てまわりました。
印象に残ったところをいくつか。
「三井八郎右衛門邸」は財閥の邸宅です。
素晴らしく豪勢で目を見張るばかりです。
家には3階建ての土蔵がつながっているのですが、その蔵はなんと、明治7年に建てられたられた
「越後屋」の絹蔵でした。
こんな太いのは見たことがないというほど立派な梁がわたされた3階建ての絹蔵。
ここに日本全国で織られた大量の絹がおさめられていたのかとおもうと、
ちょっと感動しました。
建築家の「前川國男邸」もよかったです。
すごくモダンでシンプル。
でも建てられたのは昭和17年で、材料も乏しかった時ですが、全く古さを感じさせません。
この家大好きです。
いっぺんに気持ちを鷲掴みされてしまいました。
今の家を建てるまえにこの前川邸をみていたら、絶対こんな家にお願いします、って頼んだと思う。
居心地がいい。 空間の使い方が抜群だとおもう。
などと素人の私には詳しいことはわからないが、
この家だけは、建築を専門としているらしい人が何人も見に来ていました。
家に帰って調べたら、前川國男はあの西洋美術館のル・コルビュジェの弟子だったのですね。
今年西洋美術館は世界遺産に登録できなかったけれど、
ル・コルビュジェの生地のスイスの町は世界遺産になりました。
そして前川國男の弟子が丹下建三や黒川記章だという。
ここが世界遺産に関係するたてものであったのもうれしかった。
「高橋是清邸」も印象が深いです。
三井八郎右衛門邸とくらべると、内装は飾り気のないものですが、広さは充分で
政治家の家とはこんな感じのものなのかと思いました。
2・26事件の現場となった書斎が2階にあります。
園内は武蔵野の雰囲気が保たれており、
邸内のゆがんだガラス窓から見える景色は晩秋の風情で、
実にいい感じで見学ができます。
その他、面白かったのは、下町の銭湯。
立派なお風呂やさんです。
今にもお湯が張られて人々がやって来そうです。
昔子供のころに行った近所の銭湯をおもいだしました。
そうやって園内をゆっくり散策しながら見て歩き、おしゃべりしながら
閉園時間いっぱいまで楽しみました。
師走の慌しさを忘れさせる長閑なひと時でした。
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