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羽仁進『彼女と彼』

2011-04-17 07:36:00 | ノンジャンル
 羽仁進監督・共同脚本の'63年作品『彼女と彼』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 団地に夫(岡田英次)と住んでいるナオコ(左幸子)は、ゴミ漁りをして生計を立てているバタヤの部落の一軒が火事になっているのを、ベランダから夜見ます。翌日焼跡に行ったナオコはそこで少女が物を漁っているのを見つけますが、その子が盲目であることを知り脅えます。踏切で黒い犬を連れてリヤカーを引くバタヤの男を見かけて、どこかで会った気がするナオコ。彼女は彼が夫の大学の同級生の伊古奈であったことを思い出し、彼に声をかけます。買い物帰りにバタヤの子供たちにふざけられ、紐で縛られていたところを伊古奈に助けられ、彼のあばら屋に行くと、そこには盲目の少女・ハナコも住んでいて、彼女は両親が行方不明だと言うのでした。雲の美しさを語る伊古奈。彼が水を一杯求めたので、団地の部屋まで案内すると、犬が部屋に入ってしまい、ビスケットの箱をひっくり返してしまいます。しばらくすると玄関に置いてあった優勝カップがゴミ屋に出されているのをナオコは発見し、ゴミ屋は伊古奈からそれを買ったと言います。ナオコを連れて夫は伊古奈に問いつめに行きますが、伊古奈は盗んだことを認めようとしません。翌日ナオコのところへ伊古奈はやって来て、拾ったことを認めてほしいと言い張り、ナオコが認めないでいるとドアの前に犬と居座ります。水を求めて部屋に入ってきた伊古奈に、ナオコは盗むことはいけないことだと言いますが、彼は理解できない様子です。ナオコは伊古奈に他の仕事を紹介してあげようと夫に言い、夫は水道局の仕事を紹介しますが、伊古奈は自分からこの仕事を取り上げないでほしいと懇願します。団地のごみ漁りから排斥された伊古奈は立川へ一週間出かけ、帰って来ると運河の良さをナオコに恍惚として話します。夫が出張している間、ナオコは伊古奈に置き去りにされて熱を出しているハナコを発見し、家に連れ帰り看病します。帰ってきた伊古奈はナオコのところを訪ね、3人で食事をしているところへ夫が帰ってきて、親切にも度が過ぎるとナオコをしかります。夫はハナコを病院に入れることにし、ナオコは病気が治ったらまた遊びにおいでと言いますが、ハナコは顔をそむけます。不法占拠していた部落は取り壊され、一人残った伊古奈は団地の子供たちに敵視され、子供たちは彼の犬を連れ出します。犬の名を呼ぶ伊古奈の声を聞いたナオコは、構うなと言う夫の言うことを聞かず、伊古奈とともに夜の闇の中犬を探し、ついに子供たちに傷つけられた犬を発見し、泣く伊古奈の腕の中で犬は死にます。病院にハナコを訪ねたナオコは、ハナコが前日に退院したことを告げられ、伊古奈の行方も分からなくなります。部落跡はブルドーザーで整地され、夢で犬の鳴き声を聞くナオコは、寝つかれない夜を過ごすのでした。
 幻想的な白黒画面の中、左幸子さんの存在感が際立っていました。作曲;武満徹、作詞;谷川俊太郎、唄;左幸子の主題歌も味わい深く印象的な歌でした。子供や主婦らが登場する場面ではドキュメンタリーの即興演出がなされていたことも記しておきたいと思います。左幸子さんをまだ知らない方には特にオススメです。
 
 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)