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中野美代子『契丹伝奇集』

2011-04-10 08:24:00 | ノンジャンル
 中野美代子さんの'89年に刊行された短編品『契丹伝奇集』を読みました。
 『女俑』は、長沙宰相のそばめのあたしが策を弄して正妻の座を得たように見えたが、実は死んだ正妻の女俑として埋められていたことに気付く話。
 『耀変』は、内側に夜空の星々を持つ耀変茶碗を求めて時間を旅した南宋の男と、国宝とされたそれがアメリカに売られた陰謀に巻き込まれた男が南宋時代に導かれる話。
 『蜃気楼三題』は、吐蕃王に嫁ぐ旅の途中で唐の皇女が見た宮殿の蜃気楼の話、ソビエト・ロシアの田舎の町でせむしの男が王国の蜃気楼を見た後殺される話、網走海岸で大都会の蜃気楼を見た少年が、その町へ行くために流氷を歩いて行き死んだのを知る男の話。
 『青海〈クク・ノール〉』は、隊商の途中で濃霧で道を失い、ル・ツァン国で不思議な体験をする私の話。
 『敦煌』は、タクラマカンにあるといわれる巨大な仏徒の遺跡を探索するヤーノシュの話。
 『掌篇四話』は、1917年にトルキスタンへの探検に行っているうちに夫人を自殺で亡くしたS伯爵が、夫人の指輪が晋代の女性のものに変わっているのを見つける話、アラビアのアッバース朝の教主が、支那人によって倭国から持って来られた、嬰児の果実のなる鉢植を見る話、福建路の役人が北の商人から手に入れた海獣の毛皮にくるまれ、自らが海獣になってしまう話、唐の時代に公主墓に忍び込んだわたしが公主の屍に襲われる話。
 『扇羽篇話七話』は、『狄〈テキ〉』『杪〈ビョウ〉』『膏〈コウ〉』『蝕〈ショク〉』『〈セン〉』『鬼肖〈ショウ〉』『骨鹿〈キョク〉』とそれぞれ題された1ページあまりの短編です。
 多くの固有名詞と難解な述語だらけで、途中から飛ばし読みしてしまいました。時代小説がお好きで、伝奇小説が好きな方にはオススメかもしれません。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)