gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

乾ルカ『蜜姫村』

2011-04-16 09:00:00 | ノンジャンル
 朝日新聞で紹介されていた乾ルカさんの'10年作品『蜜姫村』を読みました。
 天正三年、戦乱の世で足に大ケガを負ったお美津は五郎太に助けられ、野武士から逃げ延びますが、五郎太は疫病にかかってしまいます。お美津は彼を救おうと、吐瀉物にまみれた彼の口に口づけます。時代は下って昭和37年。前年に新種のアリを発見した山上は医師で妻の和子を伴って、そのアリのフィールドワークを1年かけてするため、人里離れた瀧埜上村仮巣地区へやって来ます。和子は無医村でありながら長寿で元気な老人が異常に多く、病人が出ても翌日には不思議に治っていることに気付き、また村人は彼女が申し出た健康診断にも拒否反応を示します。ある日彼らが離れを借りている家の孫が重病になりますが、やはり和子の診察を断り、村人以外の者は立入り禁止となっている石段を、深夜孫が背負われて登って行くのを見た山上は、彼らを追いますが、そのまま行方不明となってしまいます。和子は村の交番に届けようとしますが、仮野の者たちに妨害され、やがて山上の帰りを待つうちに、山上の子・優子を産みます。3才になった優子は奇病を発し、自分の手に負えない和子は村人に助けを請うと、石段の上の館群に連れていかれます。そこは女王・蜜姫とその長男・黒王が支配しており、黒王は優子を未来に自分の妻になるべき女性だと見抜き、蜜姫に彼女の病気を治してくれるように頼みます。蜜姫は今後優子の悪いようにしない代わりに自分の言いなりになることを条件に優子の命を助けると和子に言い、和子はそれに同意すると、蜜姫は優子から何かを啜り取ると、それを捕えられていた山上に口移しし、病に冒され体が変形した山上は大蜂と呼ばれる男に切り殺されます。和子は地下牢に入れられますが、彼女に同情した紅蝶という女性から、蜜姫が病を吸い取り、それを壷と呼ばれる人間や獣に移すことができることを教えられます。そして和子も壷としてその11年後に殺されますが、彼女を殺した大蜂は彼女の書き付けを秘かに隠します。優子は14才で初潮を迎え、黒王の妻になることになりますが、それまで優子の世話をしてきた大蜂と彼女は恋に落ち、優子は大蜂の子を妊娠してしまいます。和子の書き付けで自分の生い立ちを知った優子と大蜂は駆落ちし、大蜂は追って来た黒王を斬って逃げおおせます。二人は漁村で生活を始め、やがて優子は娘・有紀を産み、蜜姫と黒王は病気を治す能力を持っていたお美津と物を見通す能力を持っていた五郎太の子孫であることを大蜂から教えられます。傷が治った黒王は物を見通せる能力を使って彼らを殺しに蜜姫とともに向かいますが、黒王は大蜂と刺し違え、蜜姫は自分に溜め込んだ病気を優子と有紀に注ぎ込もうとしますが、優子の悪いようにはしないという和子との約束を思い出し、自ら命を断ちます。そして平成19年、医師となった有紀は病を治す能力と物を見通す能力を携えて、仮巣地区の人々のためにそこへ向かうのでした。
 陰惨な話であり、ストーリー展開も陳腐で、あまり乗れませんでした。こういう本に図書館での予約が殺到しているのはなぜなのでしょうか? そういう面では面白い本でした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)