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トッド・ブラウニング監督『魔人ドラキュラ』

2010-06-16 16:29:00 | ノンジャンル
 トッド・ブラウニング監督の'31年作品『魔人ドラキュラ』をDVDで見ました。
 悪魔が夜現れると地元の住民たちが信じている“ヴァルプルキス”の日の深夜にドラキュラ伯爵(ベラ・ルゴシ)の馬車と峠で出会う約束をしたレンフィールドは、峻険な山の頂上に立つ廃墟と化した城に連れていかれ、そこで伯爵にロンドンの屋敷を貸す契約を交わすことに成功しますが、巨大なコウモリに襲われて気を失い伯爵の餌食になります。伯爵の言いなりの狂人と化したレンフィールドは木箱に眠る伯爵とともに船でイギリスに渡り、レンフィールドはセワード博士の精神病院に収容され、伯爵もそれと知らせずに博士の近づきになります。博士の娘ミナの友人ルーシーを手に入れた伯爵は、ミナにも触手を伸ばしますが、博士の知人で超常現象の研究家であるヴァン・ヘンシング教授によって、一連の事件が吸血鬼の仕業であることが明らかになり、迷信として中々信じようとしなかった博士やミナの恋人ジョンも、最後には教授の指示に従って伯爵を追い詰め滅ぼすのでした。
 明らかにF・W・ムルナウ監督の'22年作品『吸血鬼ノスフェラトゥ』を下敷きに作られた映画ですが、前作が荒々しいイメージに溢れかえっていたのに対し、本作はずっと洗練されたイメージになっていて、ユニバーサルの恐怖映画の原点とも言える遡源的素晴らしさに満ち満ちていたように思いました。撮影現場では監督のトッド・ブラウニングよりも撮影監督のカール・フロイントのリーダーシップが圧倒的に目立っていたとの証言もあり、ドイツ時代に見せた彼の才能がここでも横溢しているのだと思います。ルゴシが目によって人を操るというのも、またレンフィールドの狂人のイメージも、これはもうあからさまにラングの'22年作品『ドクトル・マブゼ』からのいただきなのですが、単なるマネには収まり切れない豊かなイメージに溢れていたように思います。ただ、ジョンとミナとのからみが始まるあたりから一気につまらなくなったのが悔やまれ、またラストシーンの余りのあっけなさも笑ってしまいました。恐怖映画の原点、原典、そしてその最高傑作の一つを見たい方には文句無しにオススメです。なお、詳しいあらすじやこの映画に関する情報は私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他」のところにアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。