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高橋源一郎『ジョン・レノン対火星人』

2010-06-13 14:03:00 | ノンジャンル
 高橋源一郎さんの'88年作品『ジョン・レノン対火星人』を読みました。
 二流のポルノ小説作家であるわたしは、東京拘置所にいる「すばらしい日本の戦争」と名乗る男からハガキを毎日のようにもらうようになり、そのハガキには素晴らしい文躰で死体の描写ばかりが溢れていました。やがてその男は花キャベツカントリー党リーダーで、かつて重大事件を起こした死刑囚であることが分かりますが、その男は仮釈放になると、わたしを身柄引受人として押しかけてきます。わたしは彼を受け入れ、彼の頭から死体を追い払うために、元過激派で拘置所では規則破りの常習者、仮釈放後に過激派仲間にリンチを受けクリトリスをねじり取られ、現在はトルコで働くテイタム・オニールことT.Oに愛のレッスンを施してもらいますが、結局完治するには至りません。が、わたしは彼が狂気を装っていることをついに見抜き、彼はT.Oと幸せなセックスをすることに成功します。しかし彼は翌日には失踪して死に、わたしは街に出ると死体の群れに出会うのでした。
 パロディに次ぐパロディ、引用に次ぐ引用。わたしが書くポルノ小説とわたしの現実など、常にレベルの異なる文章がゴシック体と明朝によって対比的に書かれていて、そうした二重構造は現在まで高橋作品を貫いているスタイルであることが分かりました。暴力とエロの共存が楽しめる一編です。キャラクターのリアルさが感じられないという点では「文学」しているとも言えますが、「文学」が苦手な方にもオススメです。