gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

佐々木浩久監督『血を吸う宇宙』

2010-06-18 16:40:00 | ノンジャンル
 佐々木浩久監督、高橋洋くん脚本の'01年作品『血を吸う宇宙』をDVDで見ました。
 おどろおどろしい音楽のオープニング・タイトル。死刑を前にしてシスターに罪を告白する里美(中村愛美)。タクシーで急行した警視庁で里美は娘を誘拐されたと言いますが、駆けつけた夫(阿部サダヲ)は娘などいず、産婦人科の医師が妊娠と誤診した過去の心の傷が癒えず、人形の写真を娘のものと言って持ち歩いているのだと言います。そこへ霊媒師の悦子が現れ、娘は実在しミサトという名だと告げます。悦子が行った降霊術で娘の声を聞いた里美が家を出てタクシーを拾うと屋根には娘が乗っていてフロントガラスに手で行く方向を示します。辿り着いた家に娘がいるのを確信した里美は亀山パンチ候補の選挙運動員に成り済まして出てきた中年女性を殴り倒すと、確かに娘のいた痕跡を見つけますが、突然の尿意にトイレを探すと家にはトイレどころか台所も風呂もありません。外で用を足しているところを亀山に見つかり、選挙カーに連れ込まれて犯され、処女だった彼女は夜選挙カーごと拉致されると亀山と選挙運動員らは異星人であることを明らかにします。ふと気が付くとまた悦子らと誘拐犯からの電話を待っている部屋に戻っています。ミサトからの電話がかかってくるのを逆探知すると、電話は里美の実家からでした。犯人に図書館でインディアンの歴史を調べろと言われた里美は、インディアンが唯一住んでいなかったのがウエスト・ヴァージニア州、邦訳すると「西乙女町」だったことを知ります。そこへ成本(阿部寛)と金髪女のFBIコンビが現れ、成本は昔の恋人が宇宙人だったことを告白します。成本らは里美に時間を逆行する催眠を施し、選挙運動員で家を訪ねるところまで戻ると、その家は里美の実家で、殴り倒したのは里美の母でした。そこへ警察が踏み込みますが2階から亀山が現れ、娘はいないと言い張ります。母は里美には姉のミサトがいたが、里美がまだ物心つく前に火事で死んだこと、その時炎の中で動いていた人形をミサトと間違えて母が救い出したこと、その人形は捨てたはずなのにしばらくして押し入れの中から出て来て、姉のことを知らない里美がミサトと命名したことを話すと、2階で誰かが賭け回る足音が聞こえます。夫は里美とはセックスレスで里美が今でも処女のはずだと言うと、里美はつわりに襲われ、亀山の子を妊娠したことを知ります。刑事がウンコをしたいのでトイレを貸してくれと言うと、母は意味不明の言葉を話し出し、すると皆家に閉じ込められ、亀山と母は里美の腹から宇宙人と人間の混血の子を無理やり取り上げます。成本と金髪女は里美の実家のあるはずの場所に来ますが、実家は20年前に全焼していて、空には家型のUFOが飛んいて、里美が落ちてきます。里美は母と逃げた夫にテレビで呼び掛け、それを母と亀山は変な声で話す赤ん坊と聞いていますが、突然背後に現れた里美に灯油をかけられ3人とも焼き殺されます。しかしこれまでの話は全て里美の妄想で、里美は実の娘を焼き殺し、今死刑になるところなのでした。処刑の部屋まで歩く間、演歌のPV風にカメラに向かって歌う里美。行きついた部屋には所長姿の悦子がいて、実は里美の妄想と思われていたのは妄想ではなく、娘は生きていて毒ガスの実験材料にされようとしていることを教えられます。背後には総理大臣もいて政府ぐるみの陰謀なのでした。里美はすきを見て逃げ出して囚人たちを解放し、囚人の中にいたカンフーの達人は看守らと立ち回りを演じますが、結局毒ガスで皆やられます。成本に助けられた里美はいつのまにか西乙女町の森に至り、そこで亀山と母と再会し、娘の姿を追っていくと車にはねられ死にます。蜘蛛に生まれ変わった里美は再婚した夫と娘の後ろ姿を見ますが、顔を見ることなく金髪女が空を指して何事かを叫ぶと映画は終わります。
 『ドクトルマブゼ』の降霊術や電線による逆探知、『ウルトラセブン』風の成本と恋人のシーン、ブルース・リーのカンフー、果ては洋ピンまで引用に次ぐ引用、そして余りに馬鹿馬鹿しくて大笑いしてしまう意表をつくストーリー。存分に楽しませてもらいました。高橋くんの監督作品『ソドムの市』の前からこの路線が始まっていたのですね。しかし、何度も書くようですが、やはり高橋くんには幻の監督デビュー作『オデッサの戦い』のような作品も是非作ってもらいたいとも思ったりしています。