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町田康『告白』

2010-06-09 16:02:00 | ノンジャンル
 朝日新聞の特集「ゼロ年代の50册」で第2位だった町田康さんの'05年作品『告白』を読みました。
 幕末に河内で生まれた熊太郎は幼い頃から思弁的で、自分の考えを河内弁で表すことができずに、周囲との不和を感じていました。ある日仲間と遊んでいるところに現れた、自称「森の小鬼」と言う子供と相撲を取って腕を折ったしばらく後、その兄に古墳の陵墓に連れ込まれ殺されそうになり、自衛のために逆にその異形の兄を殺してしまいます。熊太郎はそれ以来その罪悪感に打ちひしがれ、大人になっても働きもせずに博打や酒で身を持ち崩しますが、ある日「森の小鬼」に瓜二つの男・熊次郎が現れ、その男の悪意に翻弄されます。少年だった頃に救ってやった弥五郎と出会って兄弟の契りを交わした熊太郎は、やがてひょんなことから熊次郎の弟の寅吉を助け、子分としますが、やがて美人の妻の縫を寝取られます。熊次郎のあまりの悪行に頭に来た熊太郎は彼の父へとそれを進言に行きますが、相手にされず、怒りの余り発狂することを恐れた熊太郎は、弥五郎とともに熊次郎の一家を襲い、10人を惨殺して山に逃げ込みます。そして殺しそこなった者たちの首を取ると執念を見せる弥五郎を殺した熊太郎は自らの命も絶つのでした。
 700ページの及ばんとする大著でしたが、河内弁で書かれた文章の面白さもあって一気に読めました。しかし、この10年に書かれた書物の中で第2位というのには余り納得できませんでした。エンターテイメント小説が好きな方にはオススメです。