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トニー・パーカー『アメリカの小さな町』

2010-06-15 14:58:00 | ノンジャンル
 トニー・パーカーの'89年作品『アメリカの小さな町』を読みました。「著者が数カ月にわたってアメリカ合衆国カンザス州の小さな町〈バード〉(仮称)で生活し、100人あまりの町民の生の声を集めたコミュニティ探訪記」(「訳者あとがき」より)です。
 インタビューの相手は「少々いかがわしい女性から町のお歴々まで、高校生から老齢者ホーム入居者まで、信仰に生きる人たちから町の鼻つまみ者まで、じつにさまざまな人間模様が万華鏡のように描かれています。」(「訳者あとがき」より) 本書の価値は、鶴見俊輔さんと長田弘さんによる付録の対談を読んだ方がよく分かるように思いました。つまり、アメリカの片田舎の町には今でも自主独立の精神が生きていて、政府や大都市を支配する中央集権主義は及んでいないこと、コミュニティ中心の生活の中でジャーナリズムの原点が今だに存在すること、機会均等の精神が生きている一方で人種による機会の遍在は現として存在していること、皆哲学を持っていて自分の人生を語ることができること、などなどです。
 ターケルの本もすべて読破しようと思っているのですが、未だに一作目の『仕事!』で止まっているのに対し、この本は数日のうちに読み終えることができました。やはりそこで語られている挿話の面白さに導かれてのことなのかとも思います。ニュースでは見えてこないアメリカ市民の姿を知るにはオススメの本です。