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ウィリアム・A・ウェルマン監督『廃墟の群盗』

2010-05-25 13:43:00 | ノンジャンル
 今日、東京都庭園美術館に「ロシア構成主義のまなざし ロトチェンコ+ステパーノワ」という展覧会を見て来ました。ジガ・ヴェルドフのキノ・グラースのポスターの現物などが見られたのですが、ナチス台頭当時の写真がレニ・リーフェンシュタールの映画に酷似するなど面白い発見もありました。

 さて、山田宏一さんが本『教養主義!』の中で映画史ベスト50に選んでいた、ウィリアム・A・ウェルマン監督の'48年作品『廃墟の群盗』をDVDで見ました。
 「西部 1867年」の字幕。雷鳴轟く中、草原を行く7人のならず者。道端のしゃれこうべは指の太さから炭鉱夫のものらしく、アパッチの矢が刺さっていました。町の酒場でその町が南軍を支持していたことを聞いたリーダーのドーソン(グレゴリー・ペック)はデュードと銀行を襲い、仲間と逃げ出します。一人を追手に殺された後、彼らは巨大な塩湖へ逃げ込むと、追手は彼らの死を確信し、引き揚げます。かろうじて対岸の町に辿り着いた6人でしたが、そこは廃墟でした。絶望した彼らはその場で倒れ込みますが、銃を構えて現れたマイク(アン・バクスター)に涌き水の場所を聞き、命を長らえます。デュードは祖父とともに二人だけでその町に留まるマイクが掘り出した金を隠していると考え、彼らからそれを奪おうとしますが、ドーソンは彼らの家に近づくことを禁じます。その夜ドーソンはマイクの家に向かい、彼女を押し倒して無理矢理キスをしますが、彼女は彼をアパッチよりも臭いと言い放ちます。髭をそり、身綺麗にするドーソン。デュードはドーソン以外のメンバーを味方にしてマイクの家を襲いますが、逃げたマイクと祖父は岩場から彼らに銃弾を浴びせます。祖父はデュードの撃った銃弾を足に受け、家にある彼らの銃弾もドーソンに押さえられたことから、マイクとともに彼らに投降し、ドーソンは彼らに金を山分けしれくれれば二人の命は助けると約束します。マイクと祖父は崩れた坑道の中に5万ドル相当の金を隠していることを明かし、翌日からドーソンらは坑道を掘り出す作業を始めます。夕焼けを悲し気に眺めるマイクにキスをするドーソン。一旦はそれを受け入れるも自分のことを心配している祖父のことを思うマイク。金を掘り出したら約束を反故にし自分たちを殺すつもりではないのかと疑うマイクの祖父に対してドーソンは自分の生い立ちを話し、聖書にかけて誓うことで彼らの信用を得、マイクは自分の本名がコンスタンスであることをドーソンに告げます。そしてついに金が掘り出されると、ドーソン以外は祖父との約束を反故にしようとし、ドーソンと5人の間で撃ち合いが始まりますが、そこへアパッチの大群が現れます。祖父は政府軍と戦おうとしている彼らを説得してドーソンらを襲わせることなく居留地へ帰らせます。再びドーソンと5人の撃ち合いが始まり、ドーソンは追いつめられますが、マイクが窮地を救い、祖父を加えた3人は彼らの家に籠城します。デュードは復讐を恐れてこの場でドーソンを殺そうと考え、4人と打ち合わせてドーソンをおびき出そうとしますが、逆にドーソンの奸計にはまり、デュードが金を一人占めにしようとしていることが明らかになり、マイクに同情的だった若者はアル中のデュードに撃たれ、アル中で4人のうち一番年上のストレッチにマイクの家に運び込まれますがまもなく死に、マイクを手に入れることに執着するレングシーとデュードとドーソンの殺し合いになります。酒場の廃墟での撃ち合いの後、マイクが駆け付けるとデュードは死んでおり、レングシーも白目を剥いて動かず、ドーソンも倒れていましたが、呼吸で胸が上下していました。回復したドーソンは銀行に金を返した後、マイクと祖父の元に戻り、女性用の帽子をドーソンから贈られたマイクは喜びに溢れるのでした。
 ジョー・マクドナルドによるコントラストの効いた画面は、やはりウェルマン監督の傑作『オックス・ボウ・インシデント』を想起させる素晴らしいものでした。物語は陰鬱で、ラストシーンでは凶暴なレングシーがドーソンらと並んで馬上でニコニコしているという場違いなハッピーエンドもあったりしましたが、見ごたえのある映画であることは間違いないと思いました。またウェルマン監督がフランスの外人部隊と第一次世界大戦での米軍パイロットの経験があること、アン・バクスターが建築家のフランク・ロイドの孫であることも初めて知りました。50年代の陰鬱なハリウッド映画を予告する注目すべき映画としてオススメです。