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アンソニー・マン監督『胸に輝く星』

2010-05-03 21:15:00 | ノンジャンル
 アンソニー・マン監督、ダドリー・ニコルズ脚色の'57年作品『胸に輝く星』をWOWOWで見ました。
 賞金稼ぎのモーグ(ヘンリー・フォンダ)はお尋ね者のジェームソンの死体と一緒に町に現れ、町中の人々が静まり返る中、保安官になったばかりの若者・ベン(アンソニー・パーキンス)に届けます。町長はモーグにすぐに町を出て行くように言いますが、モーグは賞金をもらうまでは町に留まると言い、町長はジェームソン本人の死体かどうか、町の暴れ者でジェームソンのいとこであるボガーダス(ネヴィル・ブラント)に確かめてもらうまでは町にいてもいいと言います。しかしホテルはモーグの宿泊を拒否し、モーグは納屋で出会った、インディアンと白人の混血の男の子キップに誘われ、彼の母ノナの家に泊まらせてもらえることになります。翌日、インディアンを憎むボガーダスは混血の大人を射殺し、ベンはモーグの助けを得て彼を逮捕しますが、すぐに正当防衛を理由に釈放せざるを得なくなり、以前に保安官をやっていたというモーグの元へ教えを請いに行きます。保安官などになって死に急ぐなと言うモーグを説き伏せたベンは、モーグから、銃の扱い方よりも人を知ることが大事なこと、相手の手が下がったら相手が銃を構える前に、落ち着いて一発で相手を仕留めることを教えられます。ノナはモーグに、インディアンの保護官をしていた自分の父はインディアンに理解があったこと、インディアンへの差別の激しい町に留まっているのは、医師のジョー・マッコード(ジョン・マッキンタイア)が親切にしてくれているからだと言うことを話します。ベンはジョーにモーグの言うことは信用するなと言われたので、モーグに保安官を辞めた理由を問いただすと、モーグは金にならない保安官の仕事を熱心にやったにもかかわらず、自分勝手な町民らに裏切られ、みすみす妻子を病気で死なせてしまった過去を語ります。翌日、町長は賞金をモーグに払い、モーグは町を出ようとしますが、そこへ強盗の知らせが入り、ベンは3人の助手を任命して犯人の追跡を始めます。モーグはもらった賞金でキップが前から欲しがっていた馬を買ってやります。その夜、往診の帰りだったマッコード医師は、インディアンとの混血のエド(リー・ヴァン・クリーフ)に呼び止められ、弟のゼイクがケガをしたので家まで来てほしいと言われます。マッコードは傷の場所から二人が強盗犯だと分かりますが、朝までかかって治療を続け、ゼイクの命を救います。しかし、マッコードの口から自分たちが犯人だとばれることを心配したエドは、ゼイクの制止を振りきり、馬車に乗って帰っていくマッコードを射殺します。その日は町に多大な貢献をしてきたマッコードを讃える記念日で、住民は広場に集まり、彼を讃える歌を歌いますが、そこへマッコードの死体を乗せた馬車が音もなくやってきます。静まり返る住民と赤ん坊の泣声。マッコードが前日に書いた日記から、エドらが強盗犯だと分かると、町長は賞金を出し、ボガーダスは血気にはやる連中を連れてエドらの牧場へ向かいます。キップが馬に乗って彼らの後を追ったことをモーグは知ると、モーグもキップを追い、それにベンも続きます。エドらが既に逃げた後の牧場に火を放つボガーダスたち。彼らが去った後にやって来たキップは、残っていたエドの犬に導かれて、エドらが隠れる岩山へ向かいます。蹄の跡を見てそれを追うモーグ。岩山で待ち伏せるエドは、追ってきたキップに発砲しますが弾はそれ、キップからエドらがいる洞窟の位置を聞いたモーグは自分の馬の面倒を見ているようにキップに言い、馬を降りて岩の洞窟へ忍び寄ります。それを追って来たベンはエドに見つかり撃たれますが、幸いかすり傷ですみ、モーグは洞窟の上に回り込んで洞窟の入り口に枯れ枝を投げ込み、それに火をつけてエドらをいぶし出して、生きたまま捕らえることに成功します。夜になって町に帰ってきたボガーダスらは、正当な裁判を受けさせるためにベンが牢屋に保護しているエドらを自分たちの手で縛り首にしようと酒場で騒ぎ、町長ら町の良識派もそれに恐れをなして手を引き、ベンは孤立無縁になります。モーグは彼に寄り添い、散弾銃を手にしてボガーダスの方から動き出すのを待てと言います。やがて酒場の音が止み、静寂が町を包みます。ひたすら待つベンとモーグ。いきなり窓に物が投げ付けられてガラスが割られると、モーグは明かりを消し、ベンは散弾銃を手に外へ出ていきます。道の向こうに集まったボガーダスらの一団に向かって、ベンが散弾銃を向けると、ボガーダスを残して他の連中は下がり出します。ベンは散弾銃をモーグに渡し、素手での勝負をしようとボガーダスを挑発すると、ボガーダスは去っていくように見せかけて振り向きざまに銃を撃ちますが、ベンは一発で彼を仕留めます。翌朝、モーグはノナとキップと一緒に町を去ると同時に、どこかの町で保安官に復帰することをベンに誓い、ベンの恋人も危険な保安官の妻になることを受け入れるのでした。
 マッコードが往診から帰るところから地面が傾き始め、それがやがてエドらが隠れる岩山へと続くという、ここでも蓮實先生が言う「アンソニー・マンの坂」が見事に機能していたと思います。白黒映画なのですが、昼の空もなにやら陰鬱で、そして夜の闇は無気味なほど暗く、こんな夜を映画で見たのは初めてであるような気がしました。インディアンと白人の混血児が重要な役を演ずる西部劇としても記憶に残るものになると思います。映画好きの方なら必見でしょう。文句無しにオススメです。