gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

小松左京『エスパイ』

2010-05-12 16:00:00 | ノンジャンル
 小松左京さんの'65年作品『エスパイ』を読みました。
 超能力集団エスパイに属するぼくは上司からニューヨークに急行するように言われますが、飛行機の中で貨物室にある自分のカバンの中にいつの間にか時限爆弾が現れていることに気付き、念動力(サイコエネシス)を使って何とか爆発を防ぎますが、ニューヨークに着くと爆弾はカバンから消えていて、それはぼく達のグループに属さない超能力者が、ぼくたちには使えないテレポーテーションを使って爆弾を送り込んだことを知ります。ぼくはグループのリーダーであるP.Bからソ連首相暗殺計画を阻止する命令を受け、美しいイタリア女性のマリアとともに情報を持つ“ボール”に会うためにアンカラへ向かいます。途中で敵に精神を遠隔操作されているスペイン少佐の部下たちによってバルセロナに強制着陸されますが、そこに住む仲間のスペイン反政府ゲリラ・リカルドに助けられます。アンカラで仲間のアメリカ・インディアン独立運動活動家のアイアンに会い、“ボール”のところへ案内してもらい、“ボール”から幾つか断片的な情報を得たところで、不意に爆発が起き、“ボール”は爆死してしまいます。‥‥。
 とここまで読んだところで先を読むのを断念しました。全370ページの3分の1にも満たないところです。理由は緻密で、しかも溢れんばかりに詰め込まれた細かいストーリーに付いて行けなくなったことと、人物描写の浅さ(特に女性に関しては007シリーズ並みの軽さであるように思いました)に反感を覚えたことでしょうか。架空の設定(ここでは超能力集団の存在)からリアルなストーリーを組み立てて行く小松さんの途轍もない才能はこの本でも横溢しているだけに残念です。また機会があったら挑戦してみたいとも思いました。近未来SFが好きな方にはオススメです。