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ジョルジョ・フェッローニ監督『生血を吸う女』

2010-05-13 18:28:00 | ノンジャンル
 本『恐怖の対談』の中で、黒沢清さんと手塚真さんが絶賛していた、ジョルジョ・フェッローニ監督の'60年作品『生血を吸う女』をDVDで見ました。
 美術学校の生徒であるハンスは、ヴァール教授の論文を整理するために、教授の住む風車小屋を訪ねますが教授はなかなか出てきません。すると、カーテンの陰から悲し気な表情でこちらを覗く美女が現れ、やがて彼女の泣声が聞こえ、風車が回り始めると幕が開いて様々な苦悶の表情を浮かべる等身大の人形たちが舞台を回り始めます。そしてやっと教授に会えますが、その夜、美女は再びハンスの前に現れ、ずっとハンスが来るのを待っていたと言ってベッドに誘うと、ハンスは誘われるがままに彼女と愛を交わします。ハンスの恋人ロッテとハンスの友人が心配して風車小屋にやってきますが、舞台に現れた毒殺された女や首吊りにされた女の人形の顔を見たロッテはショックで絶叫して失神します。教授は美女は彼の娘のエルフィで、重い病のため家から出られないでいるのだとハンスらに説明し、風車小屋に同居するボーレス博士は、彼女が気が高ぶって発作を起こした際に非常措置を取るために自分はここにいるのだと言います。ハンスはロッテとの愛を確かめた後、エルフィに別れを告げますが、エルフィは発作を起こしてしまい、死にます。一旦は逃げ出したハンスでしたが、思い直して風車小屋に戻ると、教授は見当たらず、やっと会えたボーレス博士は彼の興奮を鎮めるために薬を与えます。幻聴と幻覚に襲われるハンス。墓地の柩の中のエルフィの遺体は、先程机の上にあったブレスレットをしていました。部屋に戻ると縛られた女の姿が見えますが、ボーレス博士が現れると女も消え、博士はハンスは幻覚を見ていたのだと言います。教授も現れ、二人してハンスを説得して去らせると、二人はハンスに麻薬を与えて事実を隠せたことを喜び、捕えていた美術学校のモデルのアンネローレとエルフィの死体を並べ、機械につないで命の交換を行います。死んだアンネローレはロウで覆われて人形となり、新たに舞台に加わるのでした。博士はロッテの血を使ってエルフィの病気を治す方法を見つけたと教授に話し、二人はさっそくロッテを誘拐します。ロッテが消えたことに気付いたハンスと友人は、ハンスが見たものが幻覚ではなく現実であることを知り、風車小屋に急行すると、動き出した人形の首がもげ、それが死体からできていることを知ります。これが最後の実験だと言う博士は、これまで教授に協力してきた報酬として、エルフィを自分の女にすることを教授に求めますが、教授は博士を殺し、自分の力でエルフィの病気を治そうとします。しかし肝心のアンプルは博士が死に際に破壊していました。そこへハンスらが駆け付けると、狂った教授は部屋に火を放って、エルフィの死体を抱いて逃げ出します。人形たちは燃え上がり、ロウが解けるとその下にあった死体もみるみる燃え始めます。業火の中でエルフィの死体を抱く教授。ロッテを救い出したハンスらは燃え上がる風車小屋を茫然と眺めるのでした。
 なんということもないままラストまで見ましたが、最後の人形と死体が燃えるシーンの猟奇的なすさまじさに思わず息を飲みました。エコーを効かせてギーっと開く扉や窓が頻出し、不協和音を奏でる高音のピアノ、不吉なティンパニー、ピッチカートの弦の音が、マカロニウエスタンも撮ったフェッローニ監督の特徴を遺憾なく発揮していたと思います。ラストシーンだけでも見る価値があるのではないでしょうか? オススメです。