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イエジー・スコリモフスキ監督『アンナと過ごした4日間』

2010-05-17 18:22:00 | ノンジャンル
 イエジー・スコリモフスキ監督の17年ぶりの新作である'08年作品『アンナと過ごした4日間』を川崎アートセンターで見ました。
 鐘の音が響く中、人目を忍んで村の道を歩く男レオン。無気味な音楽が鳴る中、斧を買い、焼却炉に手首を投げ込み、扉に厳重に鍵をかけて外に出ます。釣りをしていると川を牛の死体が流れてきて、サイレンが鳴ります。夜、病床にある祖母に薬を与えたレオンは、隣の看護婦の寮にいるアンナを窓から盗み見ます。彼女の部屋を照らす街灯を割り、猫に餌をやっててなずけるレオン。窓から彼女の部屋に侵入しようとしますが、通りがかった車のライトに照らされて逃げ出します。激しい雨が降る日中に、釣りから帰ってきたレオンは、女の叫び声を聞き付けて納屋に入ると、アンナが男にレイプされていました。犯人が去った後、彼女に顔を見られるレオン。焼却した手首に指輪がついていたはずだと、病院の遺体焼却所で働くレオンに問いつめる医者。病院の前で交通事故が起き、倒れた男をすぐに病院のスタッフが病院へ運び込むのを2階から見るレオン。家に帰ると祖母はいなくなっており、彼女の葬列にレオンは参加します。その夜、雪の降る中、レオンは家財道具を庭ですべて燃やし、炎を見て泣きます。雷鳴の中、ずぶ濡れになって森をかけぬけ公衆電話からレイプの通報をするレオン。夜、レオンはアンナの部屋に侵入し、彼女が砂糖を入れているのがどんなビンかを確認し、家に帰ると祖母が残した睡眠薬を潰して粉状にし砂糖と混ぜます。翌日スーパーでそのビンを買ってレジにいるところへアンナが友人とやって来ると、顔を隠すレオン。その夜、レオンはまたアンナの部屋に侵入し、砂糖のビンの中身を、自分が作った睡眠薬入りの砂糖に替えます。その砂糖を入れたコーヒーを飲んでアンナが熟睡したのを見届けて、再度侵入したレオンは、懐中電灯で部屋を観察し、ネグリジェの匂いを嗅ぎ、服の外れたボタンを縫い付けてあげ、最後にむき出しの乳房に触れようとしますが、できません。次の夜、ヘリの音がする中、風呂に入るレオン。取り調べ室のレオンは、彼女の足の赤い爪を見た時、サイレンの音がしたと語り、興奮し出すレオンに落ち着けと取調官が高圧的に言うと、レオンは机のものを凪ぎ払ってしまいます。入浴が終わると、雨に濡れながらまたアンナの部屋に侵入すると、彼女のタオルで自分の服と床を拭き、足に赤いペデュキアをしますが、悪夢で眠ったまま起き上がったアンナに驚いて、退散します。翌日、医師の部屋の写真にアンナを探し出して微笑むレオン。医師は焼却炉が閉鎖されることになったのでもう仕事はなくなったと言い、指輪も見つかりレオンの嫌疑は晴れ、レオンに退職金を手渡します。その金でダイヤの指輪を買うレオン。夜、アンナの誕生パーティが彼女の部屋で行われ、自分の部屋で酒を飲みながらレオンも祝いの言葉を述べます。法廷でレオンは死にかけているハエを見ていると、判事は有罪を宣告します。酒をあおって花束を持ち正装して、酔ってドレスのままベッドに突っ伏しているアンナの部屋に侵入すると、彼は花瓶に花束を刺し、彼女に毛布をかけ、テープで音楽を流して残った料理を食べて自分もパーティに参加し、指輪を彼女に一旦ははめますが、床穴に落としてしまいます。食器の片付けをしていると、シーンは刑務所に移り、食器を洗っているところを他の囚人にレイプされてしまいます。柱時計の音で目が覚めると、既に朝になっていて、レオンは泥酔してそのままアンナの部屋の床に寝てしまっていたことに気付きます。アンナも起き上がるのを見て、レオンはベッドの下に隠れ、彼女が出かけるのを待って床穴を探り、何とか指輪を取り戻します。その日、自分の家のアンナの部屋側の壁を切り、大きな窓を取り付けるレオン。夕方パトカーがやってきますが、レオンが留守なので諦めて帰ります。その夜、またアンナの部屋に侵入して柱時計を止めると、救急ヘリがやってきてアンナは起き出します。身を隠したレオンが見つめる中、アンナは指輪を発見し、指にはめ、ベッドに寝てもしみじみとそれを眺めた後、枕の下に指輪を隠して眠りにつきます。レオンは故障していた柱時計を直すために持ち出して、彼女の部屋を出ようとしたところを、パトカーのライトに照らされ、カーテンにからまってしまい捕まります。法廷では4日連続でアンナの部屋に侵入した件での罪状認否が行われますが、レオンは彼女への愛からそれをしたと証言します。面会に来たアンナは、やはり受け取れないと言って指輪を彼に返し、釈放されたレオンが家に帰ると、アンナのいる寮との間には高いレンガ塀が作られているのでした。
 シーンが時系列に並んでいないので、ストーリーを汲み取るのが難しかったですが、移動やパンを多用したワンシーンワンカットの撮影は見ごたえがありました。しかし何とも厳しい映画です。ヌーヴェルヴァーグの批評家たちに絶賛されたスコリモフスキの現在が知りたい方は必見です。