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ティム・バートン監督『ビッグ・フィッシュ』

2010-05-11 14:06:00 | ノンジャンル
 今日、六本木にボストン美術館展を見に行ってきました。モネの絵が何枚も飾られた明るい部屋は圧巻で、ルノワールもそれに花を添えていましたが、それ以外ではやはりゴッホの迫力に魅せられました。狂気は永遠ということでしょう。結構すいているので、オススメです。

 さて、蓮實重彦先生が本『映画崩壊前夜』の中で取り上げていた、ティム・バートン監督の'03年作品『ビッグ・フィッシュ』をDVDで見ました。
 ウィルの父エドワード(アルバート・フィニー)は全国を回る営業マンをしていて家にはほとんどいず、帰って来ると途方もないホラ話ばかり聞かせていた人でした。ウィルはそんな父と理解しあえず、自分の結婚式以来3年間もの間、口も聞きませんでした。そしてある日父の死期が近いという知らせを受け、ウィルは妻と二人で帰郷します。エドワードは子供の時に魔女に出会い、彼女の瞳の中に自分の死に様を見たと言います。すべての能力に優れていた若き頃の彼は町の人気者になり、町を襲うようになった巨人のカールを説得して一緒に町を出ます。蜂や蜘蛛の大群に守られた森の中の夢のような町スペクター(「幻」の意)に至った彼は、他の住民のように靴を奪われますが、外の世界を知りたい彼は町を裸足で出発し、10才年下の少女ジェニーにまた町を訪れることを約束します。途中木に食べられそうになりますが、これは自分の死に様じゃないことに気付くと、木はおとなしく彼を解放します。やがてサーカスで未来の妻を見かけると、彼女のことを知っているというサーカスの団長の元で3年働き、ようやく彼女が現在オーバーン大学で学ぶサンドラという女性であることを教えてもらいます。彼女は既にエドワードと同じ町出身のドンと婚約していますが、彼女にアタックし続けるエドワードをドンが殴り続ける様子を見て、彼女は婚約を破棄し、エドワードと結婚することにします。しかし結婚式を前に招集令状が届き、エドワードは早く彼女の元へ帰れるように、発電所の設計図を盗むという危険な任務に志願し、ベトナムにパラシュートで降下します。無事設計図を手にいれた後、芸人のシャム双生児とともに船でベトナムを脱出し、4ヶ月後に妻の元に帰ったと語ります。妻から生きているうちに父と話し合うべきだと言われたウィルは、自分の経験した本当の話をしてほしいと父に言いますが、父は本当の話しかしていないと突っぱねます。書斎が欲しいという父のために物置きを整理する若きウィル。兵役が終わった父は全国を車で回る営業マンになり、テキサスの町でスペクターに住んでいた詩人のノザーに会います。彼は銀行強盗をし始め、エドワードも巻き込まれて共犯にされますが、銀行の金庫は空でした。エドワードがテキサスの経済状態を説明すると、ノザーはウォールストリートに行くと言い出し、実際そこで大成功を収め、後にキャリア顧問料として1万ドルをエドワードに送ってきます。物置きからスペクターという町に住むジェニーという女性名義の信託証書を見つけたウィルは、そこを訪ねます。彼女が語るには、猛烈な嵐にあったエドワードがそのまま車ごと水中に没し、気が付くとすっかり寂れてしまったスペンサーの町を再訪していて、彼は町を救うために全米から出資者を集めて町を再建し、最後にジェニーの家を甦らせますが、残ってほしいと言う彼女を置いて、妻の元へ彼は帰っていったのだと言います。ジェニーの家から帰ると父は発作を起こして入院していました。ウィルは付き添うと、意識の戻った父は自分の死に様の話をしてほしいと言います。ウィルはまだその話を父から聞いたことがありませんでしたが、その話はこの病室から始まると聞いたウィルは、話の続きを自分から語ります。それは元気になった父を病院から脱出させ、カールが邪魔な車をどける中、車を川に向けて疾走させると、川辺では父が人生の中で出会ったすべての人が笑顔で手をふっていて、最後には妻が川の精となって彼を迎え、川に落ちた父は大きな魚となって川を遡って行くのでした。ウィルが語り終わると、父は静かに息を引き取ります。父の葬儀。そこには父の話ほど大きくはないが背の高いカールやサーカスの団長、シャム双生児、詩人だったノザーも現れ、彼らが楽しそうに歓談する中、大きな魚が夕日に向かって川を遡上するのでした。
 風景が絵のように美しく、またスペンサーの町も「シザーハンズ」の町を上回る美しさでした。ラストシーンはアーウィン・ウィンクラーの「五線譜のラブレター」やフェリーニの「8 1/2」とそっくりでしたが、不覚にも涙してしまいました。ファンタジー映画が好きな方には特にオススメです。