西加奈子さんの最新刊「こうふく あかの」を読みました。
計算高く、普通の暮らしが好きな主人公のサラリーマン課長は、3年間セックスしてない妻から妊娠を告げられます。社員旅行で行ったバリで地元の名も知らぬ男との間にできた子だと言い、産むと宣言されます。課長は自分の子として育てる決心をします。会社では忙しい時は一番早く出社し、一番遅く退社することで、部下にも「課長があんなに頑張ってるんだから、自分たちも頑張ろう」という気持ちになってもらおうと計算高く考えて行動しますが、新年会で一番頑張ってたと評価されたのは、人使いが荒く、一番遅く出社する男でした。同期でさえない兎島を飲みに誘うと、兎島の連れて行った店は寂れた住宅街の中のプロレスジムの中のリングの隣に小さなカウンターがある店で、カウンターの中にいる大男と小男は客の注文がない時は、ビデオでアントニオ猪木の試合を熱中して見ています。そして妻は肌が褐色でぎょろ目の巨大な赤ん坊を産み、例の店に行くと、明日、大男がプロレスラーがアムンゼンというリングネームでデビューすると聞くのでした。
30年後、プロレス業界は衰退の一途を辿り、その中でアムンゼンだけは猪木のプロレスを継承するチャンピオンでしたが、それを倒したサムこそ妻が産んだバリ人の子であり、サムの試合会場には血のつながりのない日本人の父が「息子よ!」と叫んで常に応援しているのでした。
この小説、実際には30年後のアムンゼンのプロレスと、サラリーマンの話が平行して語られる形式を取っています。姉妹編「こうふく みどりの」が暖かい世界を描いていたのに対し、この小説は計算高い主人公が少しも好感を持てない男で、何でこんな主人公の小説を書いたのか、読み終わった今でも分かりません。プロレスの話もこれといって面白くなく、何か騙されたような気分です。西加奈子さんは当たり外れが激しい方だと思いました。次作に期待しましょう!
計算高く、普通の暮らしが好きな主人公のサラリーマン課長は、3年間セックスしてない妻から妊娠を告げられます。社員旅行で行ったバリで地元の名も知らぬ男との間にできた子だと言い、産むと宣言されます。課長は自分の子として育てる決心をします。会社では忙しい時は一番早く出社し、一番遅く退社することで、部下にも「課長があんなに頑張ってるんだから、自分たちも頑張ろう」という気持ちになってもらおうと計算高く考えて行動しますが、新年会で一番頑張ってたと評価されたのは、人使いが荒く、一番遅く出社する男でした。同期でさえない兎島を飲みに誘うと、兎島の連れて行った店は寂れた住宅街の中のプロレスジムの中のリングの隣に小さなカウンターがある店で、カウンターの中にいる大男と小男は客の注文がない時は、ビデオでアントニオ猪木の試合を熱中して見ています。そして妻は肌が褐色でぎょろ目の巨大な赤ん坊を産み、例の店に行くと、明日、大男がプロレスラーがアムンゼンというリングネームでデビューすると聞くのでした。
30年後、プロレス業界は衰退の一途を辿り、その中でアムンゼンだけは猪木のプロレスを継承するチャンピオンでしたが、それを倒したサムこそ妻が産んだバリ人の子であり、サムの試合会場には血のつながりのない日本人の父が「息子よ!」と叫んで常に応援しているのでした。
この小説、実際には30年後のアムンゼンのプロレスと、サラリーマンの話が平行して語られる形式を取っています。姉妹編「こうふく みどりの」が暖かい世界を描いていたのに対し、この小説は計算高い主人公が少しも好感を持てない男で、何でこんな主人公の小説を書いたのか、読み終わった今でも分かりません。プロレスの話もこれといって面白くなく、何か騙されたような気分です。西加奈子さんは当たり外れが激しい方だと思いました。次作に期待しましょう!