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豊島ミホ他『Re-born はじまりの一歩」(後半の3編)

2008-05-06 16:11:01 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 平山瑞穂「会ったことがない女」は、人生も残りすくなくなった老人・唐津が、過去に友人の江添の妻・マリコがセックスでエクスタシーを感じるとその後、森村ハルという人間が乗り移るので、そのハルの話を聞いてやってほしい、と頼まれ、悲惨な人生を歩んだハルの話を聞いてやります。その後、ハルは全く出て来なくなったと江添から礼状をもらいますが、マリコが出産すると、またハルが出て来るようになり、また話を聞いてくれ、という手紙が来ます。唐津は前科者の江添と関わり合うのが嫌で、断り続けますが、このところ立続けにハルの夢を見るようになり、何かハルが訴えているのではないかと、人生最後のけじめとしてマリコを探し出しますが、訪ねるとそこにはマリコの孫の悠里がいて祖母は今日は帰ってこないと言います。そこで事情を話すと、私にも祖母の血が残っているのだから、私と唐津で試してみようと悠里が言い出し、二人はセックスし、悠里はイクふりをしてハルになりきり、唐津と話し、唐津は満足して帰って行きます。この時の経験が悠里の演技の才能を開眼させ、憧れの本多劇場を満員にする大女優になっていったという話。
 豊島ミホ「瞬間、金色」は、不幸な境遇で学校でもイジメられている不良少女ナナミと私との友情と人生の話。
 伊坂幸太郎「残り全部バケーション」は、離婚する両親と高校の寮に入る私の早坂一家。今まで住んでいたマンションを売り払い、3人別々に住むことになり、引越し業者が来るまで各自の秘密を暴露しあい、父、私と来て、母の順番になった時、父のPHSがなって「友達になってください」というメールが来たので、母は面白がって家族3人で行ってもいいですか、と返事を出します。
 溝口と溝口に拾われた岡田は毒島から独立して、わざと車に追突させ脅したり、岡田が砂場で遊ぶ子供の遊び相手になり、それを母に見せながら溝口が脅す、というような仕事を注文を受けてやっています。岡田はつらそうな相手の顔を見るに忍びなく、人を喜ばせる仕事がしたいので、今の仕事を辞めさせてくれと溝口に言うと、お前の携帯でメールを打ち、友達ができれば辞めてもいいが、できなければ耳たぶを切り落とすと言われます。
 20代の岡田の車に家族3人が乗り込み、今日でこの家族は解散だという話を聞くと、岡田は解散してうまくいったのは矢沢の永ちゃんと奥田民生ぐらいだね、と言い、娘の反感を買います。
 湖に着くと岡田はメールの返事が来たので仕事を辞められると早坂に言います。また「残りの人生はバケーション」と言い、娘が「私もそうしようかな」と言うので「百年早えよ」と言っときます。
 その後、豪華ホテルで食事もさせてもらい、母が岡田に秘密を一つ教えてというので、ここの勘定を払うクレジットカードは見知らぬ人のものだと言います。母は娘に秘密を聞かれて、結婚する前に身も心も捧げた暴力男の話をします。
 ホテルを出て運転中、溝口から電話があり、勝手に毒島から独立したことを毒島は怒っていて、全部岡田のせいだと言っといたから、毒島の追っ手に気をつけろ、と勝手なことを言って来ます。そしてさっそく尾行されているのに気付き、岡田は車をコンビニの前に止めて、尾行して来た車に乗り込み、早坂一家には30分して戻ってこなかったらこの車はあげる、と言って出て行きますが、なかなか戻って来ません。父は泥酔し、母も娘も車は運転できませんでしたが、岡田が「ギアをドライブにすれば、自動的に動く」と教えてくれていたので、娘は心のギアをドライブに入れるのでした、という話。

 私が優れている、そして好きだと思ったのは、やはり、瀬尾まいこさんと豊島ミホさんの作品でした。豊島ミホさんの「瞬間、金色」については、「Favorite Novels」の「豊島ミホ」のコーナーに詳細を掲載しましたので、興味のある方はぜひご覧ください。