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深作欣二監督『県警対組織暴力』

2008-05-02 18:34:28 | ノンジャンル
 WOWOWで深作欣二監督の'75年作品「県警対組織暴力」を見ました。
 昭和38年、倉敷市。刑事の久能は出入りに向かう組の者たちから金を巻き上げ、出入りに行ってこいと送り出し、刑事と組との癒着が冒頭で示されたとことで、タイトル。タイトルの合間に大原組の成立と新興やくざの川手組の抗争の歴史が字幕で示されます。
 川手組のキャバレーでは市議会議員の友康(金子信雄)が接待を受けています。そこへ大原組の連中が川手組が引き抜いたホステスを取りかえしに奇襲をかけ、駆け付けたパトカーを盗んで逃げ出します。久能は、大原が刑務所に入っているためその間大原組を仕切っている組長代理の広谷(松方弘樹)に部下は保釈させてやると言い、広谷は引き抜いたホステスと寝たいので居所を教えてくれ、と言います。久能は広谷と自首させる人間を選びます。広谷がホステスを暴力的に犯して部屋を出て来ると、大原組に無料で女を抱かせてもらったベテラン刑事とはち合わせになります。
 川手と友康は手を結び、久能も味方のふりをしてその話を聞きます。そして川手組の者を恐喝の容疑で逮捕すると、徹底的に洗脳し、川手組を裏切らせ、川手が友康と組んで不動産で大儲けをする計画を立てていることを聞き出し、その話を広谷に伝え、その代わり警官が女でもめて50万出せと脅迫されている件の処理を頼む。広谷は女とその男をリンチし、警官への脅迫を止めさせる。久能は川手の買収の話を暴露し、川手の計画をぶちこわすことに成功し、友康は大原組に鞍替えします。久能は以前大原組に刃向かった三宅組の組長を殺した広谷を匿ってやったという歴史があり、それ以来広谷に味方してきた男であることが回想シーンで分かります。警察と大原組のもめごとに川手組が介入したことで、大原組と川手組は抗争状態になりますが、街中で繰り広げられる銃撃戦と殺人に市民が抗議の声を上げ、政治家も動かざるを得なくなり、警察が本格的に暴力団を取り締まることになり、警視庁からインテリ刑事の海田(梅宮辰夫)が派遣されてきます。海田は広谷にお前の味方は誰のいなくなったと脅しをかけ、やくざと刑事の癒着を許さず、組員の摘発に乗り出します。海田は久能に知らせずに大原組のガサ入れをし、反抗する組員を次々に逮捕していきます。広谷は怒って久能に電話し、久能は海田に抗議しますが、聞き入れられません。海田は奇襲して釈放されたばかりの大原組長を不動産不正取得の疑いで逮捕し、広谷が組長は関係ないと訴えても無視します。友康はまた川手組と手を組み、大原に土地を川手に売ることを承知させます。大原組は解散し、大原組の連中は川手組が面倒を見ることになります。広谷は久能に噛み付き、誰を殺せば自分の顔が立つか教えろと言いますが、久能は今は辛抱しろと言い、広谷と久能は決別します。元大原組の者たちと川手組の連中との抗争が始まります。久能は大原組の殺人犯を見逃してやりますが、そのことが海田にばれ、捕まった元組員からも久能は罵倒されます。久能は闇市で育った海田にその頃の罪を償ってから正義顔しろと言い、久能は捜査から外されます。広谷は川手組の者を人質にして籠城し、マスコミにやくざを取り締まるんなら政治家、警察、やくざとつるんでいる連中も全部取り締まれ、と訴えます。広谷側からの発砲で警官が何人か犠牲になる中、広谷を説得してくれるよう海田に久能は頼まれます。久能は広谷に会いに行き、乱闘になり、広谷を倒した久能は、海田に、川手組を解散し、広谷の刑を10年以下にし、以後広谷の捜査に海田が介入しないと誓えば、広谷を渡しますが、その条件を飲まなければ、広谷を再び自由にし、警察とやくざのこれまでの癒着ぶりを全部マスコミにばらすと言います。海田は条件を飲み、久能も約束を守りますが、広谷は久能との約束を破り、警官の銃を奪って海田に銃をつきつけ逃げようとし、結局久能に射殺されます。。その後、海田は川手組が作った企業の重役に収まり、久能はへき地の巡査に配置替えされ、招待不明のトラックにはねられ即死して、映画は終わります。

 暴力につぐ暴力、金で結ばれた友情、正義顔した無情なインテリ刑事、女性をものとしか扱わない登場人物ばかり。見ていて息苦しくなるような映画でした。とにかく自分の目的(大抵は金)の障害となる人物はかまわず殺していき、主人公たちは刑事とやくざの癒着を当然視しているのですから、ついていけません。ただ第三者として茫然と見守るだけです。こんな世界を垣間見てみたい方にはオススメです。